高齢者では低栄養状態の人の割合が多く、老人ホームで17.5%、病院で22%、長期ケア施設で28.7%、リハビリテーション施設で29.4%と言われています(こちら)。
高齢者の低栄養対策には様々な因子が関連しており、多種多様な介入方法が検討されていますが、何が有効かについては明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は、「低栄養高齢者への対策は何が効果的なの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2019年にオランダのTen Cateらの研究チームは、2018年9月までに登録されている21本の論文を解析しています。
結果として、
経口栄養補助食品は、摂取エネルギー量、摂取たんぱく質量、体重、BMI、上腕周径、下腿周径、上腕三頭筋皮下脂肪厚、握力、ADL能力を変化させなかった。
食品および飲料の栄養強化は、摂取たんぱく質量を増加させたが、他の指標に差は認められなかった。
食事カウンセリングは、BMIを増加させたが、栄養状態、上腕周径、上腕三頭筋皮下脂肪厚、握力を変化させなかった。
教育的介入は、摂取たんぱく質量は増加したが、体重、摂取エネルギー量、ADL能力は変化させなかった。
だそうです。
ただし、それぞれの研究の質が低いため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
高齢者の低栄養への介入は、食品および飲料の栄養強化、食事カウンセリング、教育的介入が有効だが、その効果は限定的。
ということになります。
冒頭でも述べたように、高齢者の低栄養には様々な因子が影響しているので、その人それぞれで個別性のある介入を行わなければ改善は難しいのかもしれません。
低栄養対策でも、仮設-検証-再評価をしっかり回すようにしていく必要があると思います。