デスクワークでの筋骨格系障害や痛みは頻繁に認められ、社会的な問題となっています(こちら)。
作業環境を変えたり身体活動を促したりするなど起立や歩行を促す介入が行われていますが、その効果については明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「作業場での起立や歩行を促す介入は効果があるの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)
2019年にオーストラリアのParryらの研究チームは2019年1月までに登録されている10本の論文を解析しています。
結果として、
座位と立位両方可能な作業環境にする介入(sit-stand workstation)は、介入なしと比較して、腰部症状、上背部症状、痛みに関連した能力障害に、短期的な差は認められなかった。
長期的な介入による効果については、調査されていなかった。
作業スペースにトレッドミルを設置する介入(Treadmill workstation)では、効果は明らかにならなかった。
長期的な介入による効果については、調査されていなかった。
activity tracker(活動量計)による介入は、筋骨格系症状に対して短期的な効果は認められなかった。
長期的な効果については、効果は明らかにならなかった。
複合的な介入は、筋骨格系症状について短期~長期的な効果は認められなかった。
痛みによる能力障害については、長期的には効果が認められた。
だそうです。
ただし、研究の質が低く、対象者数も少ないため、さらなる研究が必要だそうです。
作業環境を調整したり、複合的な介入を行ったりしても、効果はないようですね。
ただ、効果が認められた例も中にはいると思いますので、効果が出やすい集団がいるのか、どんな集団なのか、といったことが今後明らかになることを期待しています。