心房細動患者数は、高齢化と共に年々増加しており、100万人を超えるとも推計されています。
心房細動患者の身体活動との関連について、2013年に発表された36論文を含んだシステマティックレビューでは、身体活動はADL能力を向上させる効果は認められていましたが、合併症罹患率、死亡率に対しては効果が認められていませんでした(こちら)。
しかし、
今回紹介する論文は、運動介入の効果を明確にするためにRCT論文のみを抽出することで、「心房細動患者に運動介入は効果があるの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2016年7月までの期間に登録されている6論文、421名が含まれています。
含まれた論文の介入期間は、8週間から6ヶ月でした。
結果として、
- 運動能力は、運動介入群は運動なし群と比較して向上した。
- 死亡率、有害事象、QOLには群間で差はみられなかった。
だそうです。
ただし、対象者数が少ない、エビデンスレベルが低~中であったため、今後さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
- 心房細動患者に運動介入を行うと、運動機能は向上する。
- 死亡率、有害事象、QOLには効果がない
ということのようです。
運動機能は向上するけれどQOLが上がらないというのは興味深いですね。
理学療法士は運動機能に目が行きがちですが、運動機能ばかりを追い求めていると、患者さんが求めていることが見えなくなってしまう可能性があるかもしれません。
死亡率や有害事象については、減らないというnegativeな側面もあれば、運動しても増えないというpositiveな側面も考えられると思います。
心房細動患者に対して運動介入することは、危険因子を増やすことはなさそうなので、リスク管理をした上で積極的に行う方が良さそうですね。