全世界では80%の人が一生のうちに腰痛を経験すると言われており、イギリスでは年間107億ポンド(約1兆4231億円)損失していると言われています(こちら)。
腰痛の原因の一つに椎間板ヘルニアがありますが、治療法として椎間板切除術が選択されます。
椎間板切除術では再手術が最大で13%、2年後の腰痛悪化は最大で26%と報告されています(こちら)。
しかし、長期的な痛みと能力障害の経過については明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「椎間板切除術後の長期的な経過は?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2020年にイギリスのRushtonらの研究チームは、2018年2月までに登録されている87本の論文が解析されています。
結果として、
下肢痛、腰痛、能力障害は手術直後に改善した。
それぞれの改善は、7年後まで維持されていた。
術前の腰痛の重症度は術後下肢痛の、能力障害の経過の長さが術後能力障害の予測因子だった。
だそうです。
ただし、除外された研究が多数あるため、重要な知見が見逃されている可能性があるそうです。
結果をまとめますと、
椎間板切除術後、7年間は痛みと能力障害は改善したまま維持される。
ということになります。
椎間板ヘルニアの手術は、ヘルニアが原因で症状が出ていることが認められた状態であれば、手術は有効そうですね。
画像所見だけでヘルニアと診断されて手術した場合には、術後経過があまり良くないこともしばしば経験します。
神経症状など椎間板ヘルニアの診断基準を満たし、明らかにヘルニアで日常生活に支障が出ていると判断された場合には、手術をすることで術後予後は良好になると思います。