脳卒中患者のリハビリテーションプログラムとして、自転車エルゴメータは最も一般的に用いられている運動様式です(こちら)。
自転車エルゴメータには様々な効果があり、バランス能力や持久力についても報告がありますが、その効果については明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「自転車エルゴメータは脳卒中患者のバランス、持久力を改善させるの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2019年にブラジルのDa Campoらの研究チームは、2018年3月までに登録されている5本の論文を解析しています。
結果として、
自転車エルゴメータは従来の理学療法と比較して、
- バランス能力に対しては、効果が認められなかった。
- 最大酸素摂取量、6分間歩行距離に対しては、効果が認められなかった。
だそうです。
ただし、研究数が少なく、方法にもバラつきがあるため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
- 自転車エルゴメータは、従来の理学療法と比較して、脳卒中患者のバランス能力と持久力に対して効果的ではなかった。
ということになります。
自転車エルゴメータは、下肢機能や体幹機能を向上させる効果があることや、歩行能力を向上させることが報告されていましたが、従来の理学療法よりも効果的ということではないようです。
だからと言って、「自転車エルゴメータは効果がない」ということではなく、「効果はあるけれど他の治療と同程度」ということなので、治療の選択肢の一つとして用いることは十分可能だと思います。