脳性ナトリウム利尿ペプチドは、心疾患患者の予後予測因子であり、リスク管理のために測定することがガイドラインで推奨されています(こちら)。
BNPは運動によって変動する可能性が示唆されていますが、実際に運動でBNPが変化するかどうかについては明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「運動で心不全患者のBNPは変化するの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2019年に南アフリカのAlphonsusらの研究チームは、2018年3月までに登録されている16本の論文を解析しています。
結果として、
運動をすることで、BNPレベルは有意に低下した。
運動でBNPレベルが低下する期間は、12週間だった。
死亡率に対しては、運動による効果は認められなかった。
有酸素運動とインターバル運動の比較では、両者に差はなかった。
だそうです。
ただし、方法や対象者にバラつきがあるため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
運動はBNPを減らせるが、死亡率には影響しない。
ということになります。
運動でBNPを減らせるというのは、心不全患者が運動療法を行う上で重要な要素ではないかと思います。
運動=筋力、持久力向上だけでなく、BNPを始め様々な生理学的な効果があることを念頭に、理学療法を行うことが大切だと思います。