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痛みを再考する① 痛みの定義・分類

痛み、定義、分類|2024.8.9|最終更新:2024.8.9|理学療法士が執筆・監修しています

序文

痛みは人間の生活において避けられないものであり、リハビリテーション専門職にとっては特に重要なテーマです。痛みのメカニズムを理解し、効果的な管理方法を知ることは、患者の生活の質を向上させるために不可欠です。本稿では、痛みの種類とそのメカニズム、そして急性痛と慢性痛の違いについて概観し、痛み管理の基本的な知識を提供します。

この記事でわかること
  • 痛みは感覚と感情の複合体験であり、個人によって異なる。
  • 痛みは侵害受容性、神経障害性、痛覚変調性の3つに分類される。
  • 痛みの多面的な性質が、痛みの経験や反応の個人差を生む。
本記事でわかること

✅ 本文要約1

✅ 本文要約2

✅ 本文要約3

 

痛みの定義

国際疼痛学会(IASP)は、痛みを以下のように定義しています[1]:

実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する、あるいはそれに似た、感覚かつ情動の不快な体験」。

この定義では、痛みのいくつかの重要な側面が強調されています。

感覚的要素: 痛みは身体的感覚を伴う。

感情的要素: 痛みには心理的、感情的な反応が含まれる。

主観的性質: 痛みは個人的な体験であり、人によって異なる。

潜在的な損傷: 実際の組織損傷がなくても痛みが生じることがあり、警告システムとしての役割を果たす。

痛みは単なる身体的な感覚ではなく、認知的、感情的なプロセスも含んでいることに注意することが重要です。

このような痛みの多面的な性質が、痛みの経験や反応が個人によって異なる理由となっています。

痛みの分類

痛みは、傷害/損傷の種類と痛みの知覚につながる病態生理学的経路に応じて、侵害受容性、神経障害性、または慢性疼痛のみの場合は中枢感作に分類できます[2]。

侵害受容性疼痛

侵害受容性疼痛は、外傷、治癒しない傷害、または炎症プロセスに起因する組織損傷に対する正常な生理学的反応を表します。国際疼痛学会 (IASP) は、侵害受容性疼痛を「非神経組織への実際のまたは脅威的な損傷から生じ、侵害受容器の活性化による痛み」と定義しています。
侵害受容性疼痛には 2 つのカテゴリがあります。

体性疼痛:筋骨格系の損傷

内臓痛:内臓の損傷を指し、間接的に感じられることが多い。

神経障害性疼痛

神経障害性疼痛は、体性感覚神経系の病変または疾患によって引き起こされる痛みと定義され、異常な神経活動の結果として発生します。

病変が末梢神経系にあるか中枢神経系にあるかによって、中枢性または末梢性として説明できます。

痛覚変調性疼痛[3]

痛覚変調性疼痛は、末梢痛覚受容器の活性化を引き起こす実際のまたは脅威となる組織損傷の明確な証拠がなく、痛みの原因となる体性感覚系の疾患または損傷の証拠もないにもかかわらず、疼痛受容の変化から生じる痛みとして定義されます。

疼痛知覚が増大するといった痛覚処理の変化、疼痛の明らかな物理的原因がない、様々な刺激に対する感受性が高まるといった特徴があります。

おわりに

今回は、痛みの定義や分類についてまとめました。痛みの定義や分類を知っておくことで、対象者が訴える痛みをより深く理解することができ、効果的な介入が行えるようになると思います。

本記事の執筆・監修・編集者

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— Isao Uno(宇野勲)@リハ栄養学会2023実行委員長 (@isao_reha_nutri) June 2, 2022

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参考文献

[1] Raja, et al. The revised International Association for the Study of Pain definition of pain: concepts, challenges, and compromises. Pain. 2020 Sep 1;161(9):1976-1982.

[2] Clauw, et al. Reframing chronic pain as a disease, not a symptom: rationale and implications for pain management. Postgrad Med. 2019 Apr;131(3):185-198.

[3] Bułdyś, et al. What Do We Know about Nociplastic Pain?. Healthcare (Basel). 2023 Jun 17;11(12):1794.