高齢者の転倒は予後不良と関連しており、転倒による死亡数は増加傾向となっています(こちら)。
また、転倒の発生率は年々増加しており、それに伴い医療コストも増加しています(こちら)。
高齢者では、処方薬が多くなる傾向にあり、ポリファーマシー状態はフレイルのリスク因子となります(こちら)。
そのため、ポリファーマシー状態の高齢者は転倒リスクが高くなることが考えられますが、高齢者の薬歴を確認することが転倒予防に有効かどうかについては明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「地域高齢者の薬歴確認は転倒予防に有効なの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2021年にイギリスのMingらの研究チームは、2020年4月までに登録されている14本の論文を解析しています。
結果として、
薬歴確認を行うことで、転倒関連の傷害全般と骨折のリスクを低下させる効果が認められた。
転倒関連の入院に関しては、薬歴確認の効果は認められなかった。
だそうです。
ただし、研究間の不均一性が高かったため、さらなる研究が必要だそうです。
療法士は転倒予防に対して関わる機会が多いと思いますが、身体機能や認知機能だけでなく、薬剤は何をどれくらい飲んでいるのかなどを確認し、必要に応じて主治医や薬剤師に相談することが大切だと思います。
そのためには、療法士も対象者の全身状態と使用薬剤についての知識を持ち、薬剤の副作用による影響についての知識を持っておく必要があると思います。