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コレステロールは下げるべき?知らないと損する脂質が必要な理由【リハ栄養基礎②脂質 】

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脂質脂肪酸コレステロール|2022.10.21|最終更新:2022.10.21|理学療法士が執筆・監修しています

脂質はホントに悪者?脂質が重要な理由とは

前回は糖質についてみていきました。
今回は悪者にされがちですが、実は人間にとって必要不可欠な脂質についてみていきたいと思います。

本記事でわかること

✅ 脂質はエネルギー源でもあり、細胞を維持するためにも重要な栄養素

✅ 脂肪酸は、その種類によって働きは様々

✅ コレステロールは必ずしも悪者ではない

脂質の基本事項-エネルギー備蓄とその他の役割-

脂質は糖質、たんぱく質とともに3大栄養素の1つであり、1g当たり約9kcalと糖質やたんぱく質の倍以上のエネルギーを産生することが可能です。脂質のエネルギーは糖質と異なり、いつでも使用するエネルギー源ではないため、生物は体脂肪として脂質をエネルギー備蓄として体内に蓄えています。

 

全身の細胞を維持する役割

 

脂質は他にも細胞膜の構成成分の役割も担っており、全身の細胞を維持するために重要な働きをしています。また、ビタミンA、D、K、Eといった脂溶性ビタミンを体内に効率良く吸収するために脂質は必要な栄養素です。さらに、コレステロールは細胞膜や胆汁酸の構成成分としての働きに加え、一部のホルモンの生成にも関与しています。

 

脂質の分類

・単純脂質
・複合脂質
・誘導脂質

 

脂質は化学構造の違いから単純脂質、複合脂質、誘導脂質に分類されます[1]。


単純脂質の主なものは中性脂肪で、食事中に含まれる脂質の大部分を占めます。

複合脂質には細胞膜の構成成分であるリン脂質、細胞認識の標識として働く糖脂質
脂質を運搬する役割を持つリポタンパクが含まれます。

誘導脂質には脂質全体の主要な構成成分である脂肪酸、細胞膜や胆汁酸、ホルモンの生成に関与するコレステロールが含まれます。

 

脂肪酸の分類と働き

脂質の基本的な構成要素は脂肪酸であり、その構造によって吸収過程や働きに違いがあります。

脂肪酸は炭素原子の数や結合部に二重結合を持つかで分類されます。
二重結合がないものは飽和脂肪酸、二重結合があるものが不飽和脂肪酸と呼ばれます。また、この二重結合の位置によっても分類されます[1]。

短鎖脂肪酸・中鎖脂肪酸・長鎖脂肪酸

炭素原子の数の分類では、短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸に分かれます。

短鎖脂肪酸は主に大腸粘膜細胞の主要なエネルギー源となるもので、腸内細菌叢の状態を改善させる役割も担っています。

中鎖脂肪酸は一般的な脂肪酸である長鎖脂肪酸がリンパ管や胸管を経由して肝臓に運ばれるのに対して、直接門脈に運ばれて輸送されるため、吸収が速く、エネルギー源として利用されやすいという特徴を有しています。

長鎖脂肪酸は一般的な脂肪酸です。先述した通り、中鎖脂肪酸と比較して吸収過程が長いため、エネルギー源としてすぐに利用できるわけではなく、肝臓や全身に脂肪として貯蔵され、エネルギー摂取量が不足した際のエネルギー源として利用されます。

ω3系統とω6系統

二重結合の一による分類では、主なものはω3系統ω6系統の脂肪酸があります[2]。ω3系統の脂肪酸には、αリノレン酸、EPA、DHAといった脂肪酸を含み、ω6系統にはリノール酸、γリノレン酸、アラキドン酸が含まれます。ω3系統には抗炎症作用動脈硬化の改善血中脂質の低下などといった機能があると言われています。一方ω6系統は血小板凝集作用や炎症惹起作用など生体防御に働くと言われており、適量なら健康維持に必須の脂肪酸ですが、過剰摂取によって炎症が増強され、様々な疾患の原因になる可能性が指摘されています。

以上のように、一言で脂肪酸と言っても、構造によってその役割は様々であり、いずれも生体にとって重要な働きをしていることがわかるかと思います。

 

コレステロールの働き

コレステロールは他の脂質同様、細胞膜の構成成分であり、脳、肝臓、神経組織に多く分布しています。

また、性ホルモンや副腎皮質ホルモンなどのステロイドホルモン胆汁酸といった物質の原料となります。
コレステロールは主に肝臓や小腸で合成されており、食品からのコレステロール摂取量は体内で合成される量の1/3~1/7程度と言われています。
そのため、生体内に存在するコレステロールの大部分は生体内で生成されたものです[1]。

HDLコレステロールとLDLコレステロールの違い

コレステロールは比重の違いで分類されています。

 

〇HDLコレステロール
コレステロールの回収:動脈硬化の抑制作用

〇LDLコレステロール
コレステロールの運搬:生体機能の維持

 

代表的なものにはいわゆる善玉といわれる「HDLコレステロール」と、いわゆる悪玉と言われる「LDLコレステロール」があります。

HDLコレステロールは、増えすぎて余っているコレステロールや血管壁にたまったコレステロールを回収し、肝臓に輸送する働きがあります。そのため、HDLコレステロールには動脈硬化を抑制する作用があると言われています[2]。

一方LDLコレステロールは、肝臓で生成されたコレステロールを全身に運ぶ役割があります。
先述のように、コレステロール自体は生体機能を維持するのに重要な物質ですが、過剰に供給されると動脈硬化を進行させる原因となります。

そのため、HDLコレステロールとLDLコレステロールがバランス良く存在していることが大切になります。

 

脂質はバランスが重要。

今回は脂質についてみていきました。
生体にとって必要不可欠な栄養素ですが、不足しても過剰になっても生体に害となり、リハビリテーションの阻害因子にもなります。

脂質の摂取量についても確認していく必要があると思います。

 

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参考文献

[1] 公益財団法人長寿科学振興財団. 健康長寿ネット.
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/cholesterol.html

[2] ニュートリー株式会社. キーワードでわかる臨床栄養.
https://www.nutri.co.jp/nutrition/keywords/ch2-4/keyword2/

[3] 厚生労働省. e-ヘルスネット.
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/?s=%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB