骨粗鬆症, 骨折, 薬物療法|2022.06.24|最終更新:2022.06.24|理学療法士が監修・執筆しています
はじめに
骨粗鬆症性椎体骨折は高齢化とともに年々増加しており、2030年までに発生率は23%、生じる医療コストは27%増加すると試算されています[1]。
骨粗鬆症性椎体骨折は慢性的な痛みや脊椎の可動性低下の原因となり、QOL低下の要因にもなります[2]。
骨粗鬆症性椎体骨折に対する非外科的および非薬物療法として運動療法[3]や装具療法[4]等が検討されていましたが、有効性や安全性についてはまだ明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「骨粗鬆症性椎体骨折に対しての非外科的および非薬物療法で何が有効なの?」という疑問に応えてくれる論文です[5]。
研究概要
2022年にオーストラリアのBoltonらの研究チームは、2021年4月までに登録されている20本の論文を解析。
対象
対象国:イギリス、スウェーデン、ノルウェー、トルコ、カナダ、オーストラリア、アメリカ、ギリシャ、デンマーク、日本、韓国、香港、ドイツ、イタリア
対象者数:2083名
平均年齢:72.8±6.2歳
介入カテゴリー:運動、装具療法、電気療法、複合介入(徒手療法、姿勢教育、テーピング)
介入期間:2週間~12か月
結果
運動
効果あり | 効果不明 |
|
|
硬性装具
効果あり | 効果不明 |
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軟性装具
効果あり | 効果不明 |
|
硬性装具対軟性装具
効果あり | 効果不明 |
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電気療法
効果あり | 効果不明 |
|
複合介入
効果あり | 効果不明 |
|
ただし、いずれも短期的な効果を検証したものであり、対象に偏りがあるため、さらなる調査が必要と述べられています。
まとめ
骨粗鬆症性椎体骨折後では、痛みに対しては運動療法と硬性装具が有効なようですが、QOLや活動性への効果が明らかにならなかったのは残念でした。
複合介入ではQOLや活動性の改善効果が認められているため、骨粗鬆症性椎体骨折後のリハビリテーションでは多面的な介入を行うことが大切かもしれません。
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地域在住高齢者では、70分/回×週2回×16週間の運動介入を行うと、プレフレイルの46%、フレイルの50%がそれぞれロバストやプレフレイルまで改善したそうです。https://t.co/E0fiqzFPr7
— Isao Uno(宇野勲)@リハ栄養学会2023実行委員長 (@isao_reha_nutri) June 2, 2022
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参考文献
[1] Borgström, et al. Arch Osteoporos. 2020 Apr 19;15(1):59.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32306163/
[2] Svensson, et al. Osteoporos Int. 2016 May;27(5):1729-36.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26659067/
[3] Gibbs, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2019 Jul 5;7(7):CD008618.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31273764/
[4] Rzewuska, et al. Eur Spine J. 2015 Apr;24(4):702-14.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25725810/
[5] Bolton, et al. Braz J Phys Ther. Jan-Feb 2022;26(1):100383.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35063701/