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高齢者に対する屋外移動を含む介入は有効なの?

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高齢者, 屋外歩行,歩行訓練|2022.08.12|最終更新:2022.08.14|理学療法士が監修・執筆しています

 

本記事でわかること

✅ 屋外歩行を行うことで、屋外歩行時間が増えることが示唆された。
✅ しかし、課題特異的な部分も否めないため、今後の研究に期待する。

はじめに

地域在住の高齢者では、加齢とともに身体機能は低下し、屋外での移動能力も低下していきます。
屋外での移動能力の低下は社会性IADLの低下につながり、将来の施設入所の予測因子とも言われています[1]。
屋外活動の低下には移動能力の低下だけでなく、転倒恐怖自宅環境の障壁など、複数の要素が関連しています[2]。
一部の調査では高齢者に対する屋外での活動を促す運動プログラムの有効性が報告されていますが[3]、その有効性についてはまだ明確にはなっていませんでした。
今回紹介する論文は「高齢者に対する屋外移動を含む介入は有効なの?」という疑問に応えてくれる論文です[4]。

研究概要

2022年にイギリスのGeohagenらの研究チームは、2021年6月までに登録されている29本の論文を解析。

 

対象

対象者数:7076名(28名~1256名)
介入期間:2回~7回/週、3週間~48週間
介入方法:在宅ベース、地域ベース、在宅と地域ベースの複合
介入内容:屋外歩行を含む監視型または非監視型の歩行歩行プログラム

 

結果

効果あり 効果不明
  • 屋外歩行時間

 

  • 身体活動量
  • 運動耐容能
  • 転倒に対する自己効力感

ただし、介入方法や対象集団にバラつきがあり、研究数も少ないため、更なる研究が必要と述べられています。

 

まとめ

今回の調査では、屋外歩行の練習を行うことで、屋外での歩行時間が増える可能性があるという結果でしたが、身体活動量や運動耐容能といった他の指標については効果が明らかにはなりませんでした。
「課題特異的」という言葉がありますが、今回の調査結果は「外で歩く練習をしたから外で歩く時間が増えた」ということではないかと思います。
屋外での歩行時間が増えたのに身体活動量や運動耐容能が増えていないという結果には、今回調査できていない要因が関係している可能性がありますので、今後の調査で明らかになることを期待しています。

 

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参考文献

[1] Hajek, et al. PLoS One. 2015 Dec 14;10(12):e0144203.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26658776/

[2] Smith, et al. J Aging Health. 2016 Aug;28(5):796-811.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26486782/

[3]Arija, et al. BMC Public Health. 2017 Jun 15;17(1):576.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28619115/

[4] Geohagen, et al. Age Ageing. 2022 Jun 1;51(6):afac120.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35737601/

 

 

この記事のライター
宇野勲先生