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脳卒中患者さんの嚥下障害の予後因子は?

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脳卒中, 嚥下障害, 予後予測|2022.06.10|最終更新:2022.06.13|理学療法士が監修・執筆しています

はじめに

高齢の脳卒中患者では低栄養の割合が多く、geriatric nutritional risk index (GNRI)で評価した調査では46.7%が低栄養状態であることが報告されています[1]。
脳卒中患者さんの低栄養のリスク因子には嚥下障害があります[2]。
脳卒中患者さんの嚥下障害有病率は高く、調査方法によってバラつきはあるものの8.1~80%と報告されています[3]。
脳卒中患者さんの嚥下障害の予測因子については複数の調査がされていますが、まだ明確になっていませんでした。
今回紹介する論文は「脳卒中患者さんの嚥下障害の予後因子は?」という疑問に応えてくれる論文です[4]。

 

研究概要

 

2022年に中国のLiuらの研究チームは、研究開始時点までに登録されている18本の論文を解析しています。

 

対象

 

対象国:日本、イタリア、アメリカ、中国
対象者数:56~525名
平均年齢:61.4~82歳

 

結果

 

関連性あり 関連性不明
  • 高齢
  • 重症脳卒中
  • 低栄養
  • 早期介入(保護効果)
  • 入院時の重度嚥下障害
  • 誤嚥あり
  • 意識レベル低下
  • 脳幹損傷
  • 両側半球損傷
  • mRS=0点
  • ADL

 

ただし、基準を満たした研究数が少なく、方法にバラつきがあるため、更なる研究が必要と述べられています。

 

まとめ

 

脳卒中患者さんでは、現時点で嚥下障害があったとしても、その後に嚥下障害が改善し経口摂取できるようになる例は少なくありません。
急性期や回復期の早期の時点で予後予測をしっかり行わずに「口からは食べられません」と説明されると、本人も家族も希望を失ってしまうので、根拠のある予後予測を行って、経口摂取を諦めてしまう患者さんやその家族を増やさないようにすることが大切だと思います。

 

参考文献

 

[1] Yuan, et al. Clin Nutr. 2021 May;40(5):2535-2542.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33932800/

[2] Chen, et al. Clin Nutr. 2019 Feb;38(1):127-135.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29310894/

[3] Takizawa, et al. Dysphagia. 2016 Jun;31(3):434-41.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26970760/

[4] Liu Eur Rev Med Pharmacol Sci. 2022 Jan;26(2):610-622.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35113437/

 

この記事のライター
宇野勲先生