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ビタミンDは成人の骨密度や骨量と関連するの?

はじめに

骨粗鬆症は、骨の微細構造の変化とそれに伴う骨の脆弱性を特徴とする進行性の骨格疾患と定義されています。
骨粗鬆症は無症状で進展し、骨折するまで気付かれないことが多く、骨粗鬆症関連の治療に多大なコストがかかることが報告されています(1)。
骨粗鬆症は骨代謝の不均衡で生じますが、その主な栄養素はカルシウムビタミンDです(2)。
しかし、成人の骨代謝に対する血清ビタミンD濃度の影響に関する研究結果には賛否両論があり、ビタミンDと骨密度や骨量との関連性は明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「ビタミンDは成人の骨密度や骨量と関連するの?」という疑問に応えてくれる論文です(3)。

結果

研究概要

2021年にブラジルのSeghetoらの研究チームは、2018年10月までに登録されている35本の論文が含まれた。
包含基準を満たした論文の48.6%アジア圏の報告であった。
男女両方を対象とした論文は51.4%で、女性のみ28.6%、男性のみ20%であった。

解析結果

血清ビタミンDの指標である25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)との関連性

関連あり 関連なし
骨量

大腿骨近位部骨密度(頸部、転子部含む)

腰椎骨密度

ただし、骨密度の測定部位や25(OH)Dの測定方法にバラつきがあり、さらなる研究が必要とされています。

まとめ

ビタミンDは、骨量と大腿骨頸部の骨密度と関連していましたが、腰椎の骨密度とは関連していませんでした。
骨の健康状態の維持に対して、ビタミンDは重要な役割を担っていることが示唆されています。
大腿骨頸部と腰椎では、力学的な負荷や血管支配などが異なるため、ビタミンDの影響に違いが出たのかもしれません。

参考文献

(1)Moraes, et al. Rev Bras Epidemiol\. Jul-Sep 2014;17(3):719-34.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25272264/

(2)Maeda, et al. Arq Bras Endocrinol Metabol. 2014 Jul;58(5):411-33.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25166032/

(3)Segheto, et al. Cien Saude Colet. 2021 Aug;26(8):3221-3244.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34378711/

 

この記事のライター
宇野勲先生