序文(はじめに)
PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)のスタッフは、患者の人生に直接影響を与える重要な役割を担っています。そのため、スタッフのモチベーションを維持・向上させることが重要であることは誰もがわかっています。そこで今回は、モチベーションの3大要素である「自律性・目的性・成長性」の観点から、実行しやすいコツを紹介します。
信頼関係の構築 – オープンなコミュニケーションを心掛ける
まずは信頼関係です。これがなければ、何も始まりません。例えば、1on1を定期的に設け、業務や悩みについて耳を傾けます。スタッフに「自分の意見が尊重されている」「自分もチームの一因である」と感じてもらえることが大切です。意識的・意図的なコミュニケーションによって、信頼の土台を作ります。
目的と目標を共有する
目的とは、「何のため」「誰のため」です。この仕事は何のためにしているのか、この目標の理由は何なのか。単に「1日18単位」「訪問6件」というだけでは、人は動きません。なぜ18単位なのか、なぜ6件なのか、その目的をきちんと伝えることが大切です。
スタッフを褒める – 労いの言葉を忘れない
さらにスタッフが、自分が大切にされている・自分で仕事を動かしている、と感じるために必要なことは、褒める・労うことです。日々の小さな進歩や努力に対して「ありがとう」「頑張ってくれているね」と声をかけることは、手軽で効果的なモチベーションアップの方法です。スタッフが働いてくれることは、決して当たり前ではありません。きちんと感謝を示しましょう。
学習機会の提供 – 日常の業務に学びを取り入れる
専門性を持つPT/OT/STにとって、成長の機会を提供することはモチベーションに良い影響を与えます。自分が所属している組織が、研修参加の支援や社内教育など、学習機会を提供してくれることに気がつくと、彼らは組織に前向きさを持ってくれます。最終的には制度として取り入れることが求められますが、まずは休みを取りやすくすることや、研修への参加に対して前向きに声をかけること、一緒に勉強することなど、小さなことから始めます。
正しいワークライフバランスの推進 – 柔軟な働き方を考える
スタッフがしっかりとリフレッシュできる環境を作ることも重要です。過労はモチベーションの低下だけでなく、サービスの質にも影響を与えます。スタッフの顔色や表情、反応などをきちんと把握することを心がけましょう。またスタッフが困ったときに相談しやすいように、日頃から前向きな声かけをしていきましょう。
まとめ
モチベーションのポイントは、自主性・目的性・成長性です。お金だけではありません。これら3つについて今日・明日からできることは、スタッフへの声かけです。小さなことですが、スタッフはあなたの変化を見ています。それはあなた自身の、自主性・目的性・成長性を高めます。やってみてくださいね。
参考文献
Rose T. Dunn: Dunn and Haimann’s Healthcare Management, Eleventh Edition