序文(はじめに)
管理職に就いたばかりの頃は目の前の業務に加え、スタッフのサポートやチームの調整など、「今までとは違う種類の仕事」が次々と増えていきます。
「忙しいのに、やるべきことが終わらない」
「毎日バタバタしていて、何に時間を使ったのか思い出せない」
そう感じている方は、決して少なくありません。
そこで今回は、若手リーダーが一歩先に進むための時間の使い方について、シンプルで実践しやすい方法を紹介します。
ポイントになるのは、ドラッカーの言葉:「汝の時間を知れ(Know Thy Time)」
これはつまり、「まず、自分が時間をどう使っているかを把握せよ」という意味です。忙しさに振り回される日々を抜け出すには、まず自分の時間の使い方のクセを知ることが出発点です。
1. 「時間がない」はリーダーあるある
管理職の仕事は見えにくいタスクが多く、「頑張っているのに、何も終わっていない感覚」に陥りがちです。
特に慣れないうちは、こんな状態に心当たりがある方も多いのではないでしょうか。
- 頼まれごとを全部引き受けてしまう
- メールやチャットの返信に振り回される
- 緊急対応が多く、予定していた業務に手がつかない
これらは一つ一つは小さなことでも、積み重なると1日の大半を奪っていきます。
だからこそ、「今の自分は何に時間を使っているのか?」を、客観的に見えるようにすることが大切です。
2. 「汝の時間を知る」ための実践ステップ
- 3日間、すべての業務を記録してみる
a. 紙でもスマホでもかまいません。
b.「10:00〜10:30 カンファレンス」「10:30〜11:00 書類確認」「11:00〜同僚と雑談」など、自分の行動をできるだけ正直に書き出してみてください。 - 「価値ある時間」と「奪われた時間」を分けてみる
a.書き出した内容を見ながら、「これは自分にしかできないのか?」「これは誰かに任せられたのでは?」といった視点で振り返ります。
b.ムダな習慣や思い込みに気づくことが、時間の整理につながります。
- 時間の“使い方のクセ”を修正していく
a.例えば、
ⅰ.いつも午前中が電話対応でつぶれている → 電話は午後にまとめて対応
ⅱ.頼まれた仕事を断れずに抱え込む → 一旦「考えます」と言う時間を取る
このように、「何をどう変えるか」まで落とし込むことで、“時間が漏れない仕組み”をつくっていけます。
3. 明日から使える3つの整理術
- 1日15分「考える時間」を確保する
a. 予定に埋もれる日々の中で、あえて何もしない時間を確保することで、見えてくることがあります。
b. 頭の中を整理する時間は、リーダーの“整える力”を支えます。 - 「それ、本当に自分の仕事か?」と問いかける
a. 頼まれた仕事や急ぎのタスクに対して、「自分がやるべきか、任せるべきか」の判断を入れるだけで、時間の質は変わります。 - 予定には“余白”を残す
a. 分刻みで動くと、1つ崩れただけで全体がぐらつきます
b. 5〜10分の余白を意識的に入れることで、急な対応にも落ち着いて対処できるようになります。
まとめ
若手リーダーにとって、時間の使い方は“スキル”であると同時に、“チームを動かす土台”でもあります。
- 「忙しい」は避けられなくても、「流される」は避けられます。
- まずは3日間だけでもいいので、自分の時間を記録することから始めてみてください。
汝の時間を知れ——そこから、リーダーとしての成長が始まります。
参考文献
Rose T. Dunn: Dunn and Haimann’s Healthcare Management, Eleventh Edition