序文(はじめに)
PT・OT・STとして経験を重ね、チームをまとめる立場になると、それまで見えていなかった課題に直面することが増えてきます。
- 「リーダーになったはいいが、正直どう進めたらいいのか分からない」
- 「職場の空気を良くしたいけれど、うまく関わる方法が見つからない」
こうした声は多くの若手リーダーに共通しています。
リーダーシップは、一度にすべてを身につけるものではありません。少しずつ経験を重ねながら、課題と向き合っていくプロセスが大切です。
今回は、若手リーダーが特に直面しやすい3つの課題と、その解決に向けた考え方や行動のヒントをお伝えします。
1. 「全部自分で抱えてしまうこと」は、チームを育てる機会を奪う
責任感の強い若手リーダーほど、メンバーからの相談やタスクを自分で引き受けてしまいがちです。
「自分がやった方が早いから」「断りにくいから」と頑張り続けるうちに、いつの間にか疲弊し、チーム全体の自立性も下がっていきます。
解決のヒント:
- 仕事を任せることは、チームを育てることだと意識する
- 任せた後は、「できたかどうか」だけでなく「やってみてどうだったか」まで対話する
- 小さなタスクから少しずつ手放し、任せる範囲を広げていく
任せることは信頼のメッセージでもあります。最初は不安でも、意識的に「任せる」「待つ」時間をつくることで、チーム全体が育っていきます。
2. 「メンバーとの距離感に迷うこと」は自然な悩み
リーダーという立場になると、メンバーとの距離感に悩む場面が増えます。
「急に壁を感じさせてしまった」「逆に、友達のような関係になりすぎて指摘がしにくい」など、適度な距離のとり方は難しいものです。
解決のヒント:
- 役割は変わったが人としての関係は変わらないという軸を持つ
- 仕事の場面では、公平性や透明性を大事にする
- 雑談やランチの時間は大切にしつつ、チーム全体とのバランスを意識する
距離感に正解はありませんが、自分なりの「大切にしたい関わり方」を意識しておくことが、ぶれないリーダー像につながります。
3. 「成果が見えにくいこと」に焦らない
リーダーになったばかりの頃は、「自分の働きかけがチームにどう影響しているのか」が見えづらく、焦りや不安を感じやすいものです。
「自分が何をしているのか意味があるのか?」と迷う瞬間は、誰しも経験する通過点です。
解決のヒント:
- 小さな変化・成果を意識して見る癖をつける
例:「最近チームの話し合いが活発になってきた」「新人が自分から意見を言うようになった」 - 定期的に自分の行動とチームの変化を振り返る
- 必ずしもすぐに大きな成果を求めず、「積み重ねが形になるまで待つ」姿勢を持つ
成果は、ある日突然目に見えるものではなく、日々の小さな積み重ねの中に芽生えていきます。
焦らず、確実に歩みを進めていきましょう。
まとめ
リーダーとしての歩みは、課題の連続とも言えます。
けれども、その一つ一つに向き合いながら進んでいくことが、チームにとっても自分自身にとっても、確かな成長につながります。
- 任せることを恐れずに進める
- 距離感に悩む自分を否定せず、柔軟に考える
- 小さな成果を大切に見つめ、焦らず進む
若手リーダーとして、まずは自分なりの一歩を踏み出してみてください。
その積み重ねが、やがてチームに良い空気を生み出していくはずです。
参考文献
Rose T. Dunn: Dunn and Haimann’s Healthcare Management, Eleventh Edition