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人工関節置換術後の感染症に、低栄養は関連しているの?というお話し

人工関節置換術(TJA)の術後感染症は,日本整形外科学会の骨関節術後感染予防ガイドライン2015では初回0.2~3.8%,再置換0.5~17.3%と報告されています(こちら)。

また、アメリカのParviziらは、TJA後の感染症の原因に低栄養が含まれていることを報告しています(こちら)。

 

しかし、人工膝関節全置換術(TKA)や人工股関節全置換術(THA)の術後感染症に栄養状態が影響するかはわかっていませんでした。

今回紹介する論文は、「TKA,THA術後感染症に、低栄養は関連しているの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。

ギリシャのTsantesらの研究チームは、2018年12月までに登録されている8本の論文が含まれています。

 

結果として、

 

  • 手術部位感染症(SSI)と関節周囲感染症(PJI)は、低栄養と関連していた(SSI:オッズ比2.49、PJI:オッズ比3.62)。
  • 低栄養とSSIは、TKA、THAともに関連していた(TKA:オッズ比2.42、THA:オッズ比2.66
  • 低栄養とPJIは、TKA、THAともに関連していた(TKA:オッズ比2.55、THA:オッズ比3.10)。
  • PJIと低栄養は、初回および再置換ともに関連していた(初回:オッズ比3.58、再置換:オッズ比3.96)。

 

だそうです。

 

ただし、含まれている研究間で調査期間、対象者、セッティングなどが異なるため、さらなる研究が必要だそうです。

 

結果をまとめますと、

 

  • SSIとPJIは、TKAでもTHAでも初回でも2回目でも低栄養と関連している

 

ということになります。

 

低栄養だと、創傷治癒が遅くなることや、免疫機能が低下することで、感染症発祥率が高くなる可能性が考えられます。

そうなると、今回はTKAとTHAについてでしたが、他の整形外科術後や外傷でも同様に、低栄養だと感染症の罹患率が高くなる可能性が考えられますね。

整形外科では、栄養状態をあまり考慮していない印象がありますが、術後の予後を改善させるためにも、栄養状態を評価することは重要でと思います。