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大腿骨近位部骨折と抑うつ状態は関連している?というお話し

抑うつ患者は全世界で約1億2000万人いると言われており、抑うつはアルツハイマー病、パーキンソン病、脳血管障害などの神経性疾患のリスク因子とされています。

2018年にアメリカのWuらの研究チームは、抑うつと骨折リスクとの関連性を調査し、抑うつは骨量を減らし骨折リスクを上げる可能性があることを報告しています(こちら)。

 

しかし、抑うつと大腿骨近位部骨折(HF)リスクとの関連性については、一致した見解が得られていませんでした。

今回紹介する論文は、「大腿骨近位部骨折と抑うつ状態は関連しているの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。

2019年に中国のShiらの研究チームが、2019年2月までに登録された10本の論文を解析しています。

 

結果として、

 

  • 抑うつはHFリスクを21%上昇させた。
  • 男性の方が、女性よりもHFリスクが高かった(HR:1.41対1.30)。
  • 10年以上の追跡調査では、抑うつとHFリスクは有意に関連していたが、10年未満の追跡調査では有意ではなかった。
  • ヨーロッパ人の方が、北米やアジア人よりも、抑うつによるHFリスクが高かった

 

そうです。

 

ただし、対象者や調査方法にバラつきがあるので、今後さらなる研究が必要だそうです。

 

結果をまとめますと、

 

  • 抑うつはHFリスクを上げ、特に10年以上経過しているヨーロッパ人男性HFリスクが高い

 

ということになります。

 

抑うつ状態は、ストレスホルモンであるコルチゾルや炎症性サイトカインなど骨吸収を促進する因子が上昇し、エストロゲンや成長ホルモンなど骨形成を促進する因子は減少することが言われています。

高齢者では、「老年期うつ」と呼ばれるうつ状態に陥る方が少なくありません。

抑うつはフレイルリスクでもあるので、要介護予防に抑うつ対策は効果があるかも知しれませんね。