高齢者は低栄養のリスクが高く、低栄養をスクリーニングするツールが複数開発されています。
栄養スクリーニングツールにはそれぞれ特徴があり、低栄養リスクの割合が異なります。
2013年にドイツのDiekmannらの研究チームは、施設入所者の低栄養リスクをMNA、NRS2002、MUSTを用いて評価し、MNAで15.4%、NRS2002とMUSTはそれぞれ8.6%と報告しています(こちら)
しかし、この研究は単施設で対象者数が少ないため、一般化できるかは不明でした。
今回紹介する論文は「栄養スクリーニングツールでの低栄養リスク判定にバラつきはあるの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2019年にオランダのLeij-Halfwerkらの研究チームは、2006年から2017年までに登録された196本の論文を解析しています。
結果として、
- 低栄養の高リスク者の数は、MNA-SF:14.9%、GNRI:19%、MUST:26.9%、NRS2002:40.6%であった。
- 低栄養高リスクに関連する因子は80歳以上、女性、1つ以上の疾患を有していることだった。
だそうです。
ただし、調査条件にバラつきがあるため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
- 低栄養スクリーニングツールの結果はバラつきがある。
ということになります。
スクリーニングツールはあくまでスクリーニングであって、低栄養の危険性がある人を見逃さないこと(=感度が高い)が求められます。
そのため、低栄養と判断し栄養療法を行う際には、スクリーニングの後に、より詳細にアセスメントを行う必要があります。