高齢者は食が遅くなりがちですが、蛋白質摂取量については、若年者と同程度の摂取が推奨されています。
蛋白質は骨格筋を増やすのに重要な栄養素ですが、骨密度(BMD)を高めるのにも有用であることが報告されています(こちら)。
しかし、高齢者に限った場合には、まだその有用性は明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「高齢者の蛋白摂取は、骨の健康維持に有用なの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2019年にオランダのGroenendijkらの研究チームは、2018年10月までに登録されていた13本の論文を解析しています。
蛋白質摂取量については、推奨量(RDA:0.8g/ kg/日)を基準としています。
結果として、
- 全身のBMDに対しては、5本中1本の論文で蛋白質摂取の有用性が認められた。
- 大腿骨頸部のBMDに対しては、6本中3本の論文で蛋白質摂取の有用性が認められた。
- 腰椎のBMDに対しては、4本中1本の論文で蛋白質摂取の有用性が認められた。
- 骨折に対しては、5本中4本の論文で蛋白質摂取の有用性が認められた。
- メタ解析では、蛋白質摂取量が多いほど大腿骨頸部骨折が減少することが認められた(ハザード比:0.89)。
だそうです。
ただし、研究方法にバラつきがあり、論文数も少ないため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
- 蛋白質摂取量を増やすと、大腿骨頸部のBMDが増え、大腿骨頸部骨折のリスクが減少する。
ということになります。
骨と筋は代謝や遺伝子レベルで互いに影響し合っており、「オステオサルコペニア」とも呼ばれています。
高齢者では、筋だけでなく骨の健康維持のためにも、蛋白質の摂取量を増やすようにした方が良いですね。