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高齢者の食欲不振にはどんな介入、評価が良いの?というお話し

高齢者の食欲不振はサルコペニアやフレイルの危険因子です。

2016年にカナダのRoyらの研究チームは高齢者の食欲不振の有症率を調査し、地域在住高齢者で25%、入院患者で62%、施設入所者で85%が食欲不振を訴えていると報告しています(こちら)。

 

しかし、高齢者の食欲不振に対して有効な介入方法や評価方法については、まだ明らかになっていませんでした。

今回紹介す論文は「高齢者の食欲不振にはどんな介入、評価が良いの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。

2019年にイギリスのCoxらの研究チームは、2018年5月までの登録された18本の論文を解析しています。

 

結果として、

 

  • 主な介入方法は教育、運動、匂い強化、品目を増やす、食事介助、栄養強化食、経口栄養剤付加、アミノ酸摂取、薬剤だった。
  • 有効性が認められたのは、匂い強化、経口栄養剤アミノ酸摂取栄養強化食薬剤(酢酸メゲストロール)だった。
  • 評価方法は、主にリッカート尺度Visual analog scale(VAS)が使用されていたが、多様な評価方法が用いられていたため、有効性の検証はできなかった。

 

だそうです。

 

ただし、介入方法や対象者、評価方法のバラつきがあるため、さらなる研究が必要だそうです。

 

結果をまとめますと、

  • 食欲不振には食べ物の匂いを強化する、経口栄養剤を加える、アミノ酸前駆体を摂取させる、栄養強化食に変える、薬剤(酢酸メゲストロール)を使用するとが有効かもしれない。
  • 評価方法は、リッカート尺度VASが良さそうだが、まだよく分かっていない。

 

ということになります。

 

高齢者の食欲不振は、良く遭遇する問題ですが、その原因は個人個人で異なります。

今回紹介されている介入も、どのような高齢者に有効かまでは、まだ明らかになっていません。

食欲には島皮質や扁桃体が関係していると言われているので、その人が生きてきた歴史が大きく影響します。

今回紹介した論文を参考にしつつ、一人一人オーダーメイドで原因と対策を考えていかなければいけないと思います。