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ROMとMMTだけでは足りない?“動作の質”をどう見ればいいか

ROM、MMT 、動作|2026.2.27|最終更新:2026.2.27|理学療法士が執筆・監修しています

この記事でわかること
  • ROMとMMTは「出せる能力(capacity)」を見ますが、「どう使っているか(control・戦略)」は拾いにくい
  • 動作の質は代償・協調性・タイミング・荷重・滑らかさなどが大事
  • チェック項目を固定し、動画や簡便スコアで再評価できる形にすると考えやすい
3分で読めるよ

序文

ROM(関節可動域)とMMT(徒手筋力検査)は、評価の基本であり、若手のうちは特に「まずここを押さえる」のが大事です。
ただし臨床では、ROMもMMTもそこそこ良いのに動作が崩れる/痛い/疲れる/速くできない場面に必ず出会います。
そこで鍵になるのが、いわゆる“動作の質(movement quality)”です。
今回は、ROM・MMTに加えて“動作の質”をどんな視点で観察し、臨床で再評価できる形に落とし込むかを具体的にお伝えします。

ROMとMMTだけでは“なぜできないか”が残る

1) MMTは便利だが「見逃し」も起きやすい

MMTは臨床で使いやすい一方、左右差や軽〜中等度の筋力低下を拾う感度に限界があることが示されています(例:膝伸展での差の検出など)。[1]
つまり「MMTで5だから大丈夫」と言い切る前に、”動作の中で力が“使えているか”を見る必要が出てきます。

2) ROMは数字が出ても、測り方・解釈でブレる

ROM測定(ゴニオ)は信頼性・妥当性に関する検討が古くからあり、手順、部位、測定者間差、能動/他動などで結果が揺れます。[2]
さらに重要なのは、ROMは「関節が動く範囲」を示しても、動作中の関節運動(タイミングや連動)までは保証しない点です。

3) “できた”の中に、代償が隠れる

たとえば脳卒中後のリーチでは、関節の能動可動域低下や協調性低下があっても、体幹の代償などで目標到達自体は可能になります。[3]
「届いたからOK」だと、代償が固定化しやすく、痛みや過負荷・上達頭打ちにつながることがあります。
結果(到達・回数)+過程(どう動いたか)のセットで見るのが動作の質です。

“動作の質”を観察する5つのレンズ

ここからは、明日からの臨床で使えるように、見る場所を固定します。おすすめは次の5つです。

レンズ① アライメント:どこが潰れて、どこが逃げた?

例:スクワットで膝が内側に入る/骨盤が後傾して腰で逃げる
例:立ち上がりで踵荷重が抜け、つま先に突っ込む

レンズ② 協調性・順序:近位→遠位、分節運動が出ているか

体幹・骨盤が固まって四肢だけが頑張っていないか
肩甲帯が先に固まり、上肢が“引っかかる”など

レンズ③ タイミング:いつ崩れるか(開始/中間/終末)

開始で崩れる:準備(姿勢・呼吸・支持基底)が弱い
中間で崩れる:可動性 or 協調性 or 荷重移動が詰まる
終末で崩れる:制動(遠心性)や安定化が弱い

レンズ④ 滑らかさ:分節的・ぎこちない・止まる(=制御のサイン)

運動の“滑らかさ(smoothness)”は、感覚運動の障害や運動学習の観点から重要な特徴として整理されています。[4]
臨床では機器がなくても、速度が一定か(途中で急に加速/減速)、動きが分割されていないか(「動く→止まる→動く」)、余計な共同収縮で硬くなっていないかを観察するだけで、かなり情報が増えます。

レンズ⑤ 代償か回復か:その戦略は“今は必要”か“卒業したい”

代償そのものが悪いわけではありません。生活の安全確保として必要な代償もあります。
ただ、目標が「できる」から「楽に・速く・痛くなく・長く」へ進むとき、代償の整理が必要になります。

使いやすい書き方(SOAPにそのまま載る)

介入:踵荷重+骨盤前傾位のセット、テンポを落として反復→再測定
課題:椅子立ち上がり
結果:10回可能(息切れ強い)
:開始で骨盤後傾+体幹過前傾、膝内側偏位、踵荷重が保てず前足部へ逃げる
仮説:股関節伸展トルクの“使用”不足/支持基底上での荷重移動戦略の未学習

ブレないための“仕組み化”3点セット

1) 標準化されたツールを「質を見る目的」で使う

脳卒中:Fugl-Meyer Assessmentは運動・感覚・関節機能などを体系的に評価する代表的スケールです。[5]

上肢の質:WMFTのFunctional Ability Scaleのように、観察で質を評点化する枠組みもあります(評価手順の整備で信頼性を高めた報告)。[8]

「ROM/MMT+(質を拾うスケール)」の組み合わせにすると、説明力が跳ね上がります。

2) “動作の質スクリーニング”を選ぶ(スポーツ/整形でも有効)

FMSは信頼性は高めだが、妥当性には懸念も残る、という形で整理されたシステマティックレビューがあります。[6]

ジャンプ着地の質をみるLESSは、比較的短時間で使える臨床ツールとして信頼性が報告されています。[7]

ポイントは「当てにしすぎない」ことではなく、どの動作で質を見たいかに合う道具を選ぶことです。

3) 動画(スマホ)+固定アングルで、再評価できる形にする

質は主観になりがちなので、正面+矢状面(最低2方向)、距離と高さを固定、同じ課題・同じテンポで撮って、介入前後で比較すると一気に臨床が締まります。
新人のうちは特に「自分の目が育つ」速度が上がります。

おわりに

ROMとMMTは“土台”ですが、臨床で詰まるのはだいたい「使い方(動作戦略)」です。
動作の質は、崩れた場所ではなく、崩れ始めた“タイミングと理由”を見つけるための視点。
まずは今日から、同じ課題で「アライメント/協調性/タイミング/滑らかさ/代償」を固定で見るところから始めてみてください。

参考文献

[1] Bohannon RW. Manual muscle testing: does it meet the standards of an adequate screening test? Clin Rehabil. 2005. PMID: 16180603

[2] Gajdosik RL, Bohannon RW. Clinical measurement of range of motion. Review of goniometry emphasizing reliability and validity. Phys Ther. 1987. PMID: 3685114

[3] Cirstea MC, Levin MF. Compensatory strategies for reaching in stroke. Brain. 2000. PMID: 10775539

[4] Balasubramanian S, Melendez-Calderon A, Roby-Brami A, Burdet E. On the analysis of movement smoothness. J Neuroeng Rehabil. 2015. PMID: 26651329

[5] Fugl-Meyer AR, Jääskö L, Leyman I, Olsson S, Steglind S. The post-stroke hemiplegic patient. 1. a method for evaluation of physical performance. Scand J Rehabil Med. 1975. PMID: 1135616

[6] Bonazza NA, Smuin D, Onks CA, Silvis ML, Dhawan A. Reliability, Validity, and Injury Predictive Value of the Functional Movement Screen: A Systematic Review and Meta-analysis. Am J Sports Med. 2017. PMID: 27159297

[7] Padua DA, Boling MC, Distefano LJ, Onate JA, Beutler AI, Marshall SW. Reliability of the landing error scoring system-real time, a clinical assessment tool of jump-landing biomechanics. J Sport Rehabil. 2011. PMID: 21576707

[8] Duff SV, et al. Interrater reliability of the Wolf Motor Function Test-Functional Ability Scale: why it matters. Neurorehabil Neural Repair. 2015. PMID: 25323459

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執筆│宇野  編集│てろろぐ 監修│

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