序文(はじめに)
理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)の現場では、多職種との連携が欠かせません。そのため、定期的な会議やカンファレンスが行われますが、「議論がまとまらない」「時間が長引く」「何が決まったのか分からない」といった課題が生じがちです。
そこで今回は、会議をスムーズに進めるための具体的な方法を紹介します。特に、ホワイトボードを活用することで議論を可視化し、整理しやすくなるため、ぜひ取り入れてみてください。
事前準備を徹底する
アジェンダ(議題)を事前に共有する
会議を効率よく進めるには、事前の準備が欠かせません。まず、会議の目的や議題を事前に明確にし、参加者に共有しましょう。
例:「次回のカンファレンスでは、患者Aさんの在宅復帰プランについて検討します。」
これにより、参加者は事前に情報収集をしたり、意見を整理したりすることができ、スムーズな議論につながります。
目的を明確にする
会議の冒頭で、「この会議のゴールは何か」を明示することで、話が脱線するのを防げます。
例:「本日の会議では、患者Aさんの退院後の生活支援計画について決定します。」
ホワイトボードを活用する
議論を可視化する
会議中に出た意見をホワイトボードに書き出すことで、話の流れが整理され、参加者全員が共通認識を持ちやすくなります。
活用方法の例
- 議題を大きく書く:「患者Aさんのリハビリ計画」
- 出た意見を箇条書きで整理:「PT:歩行訓練を強化」「OT:食事動作の自主練習を推奨」
- 結論を明確に書く:「来週から歩行訓練を重点的に実施」
このように、話した内容を即座に見える形にすることで、意見が整理され、議論がスムーズに進みます。
タイムラインを示す
ホワイトボードに会議の進行スケジュールを記載しておくと、時間超過を防ぐことができます。
例:「10:00~10:15 患者Aの現状確認」「10:15~10:30 課題の整理」「10:30~10:40 対応策の決定」
時間が明確になることで、無駄な議論が減り、効率的に会議を進めることができます。
ファシリテーションの工夫
役割分担を明確にする
会議をスムーズに進めるには、それぞれの役割を決めておくことが重要です。
- 進行役(ファシリテーター):議論が円滑に進むよう調整する
- 書記:ホワイトボードに意見を記録する
- タイムキーパー:時間管理を担当し、長引きそうな議論を調整する
このように分担を決めることで、会議の流れがスムーズになり、効率的な進行が可能になります。
発言を均等にする
一部の参加者だけが話しすぎるのを防ぐため、意見をバランスよく引き出すことも大切です。
例:「STの視点からはどうでしょうか?」
このように促すことで、多職種の意見をバランスよく取り入れることができます。
会議の最後に結論を明確にする
決定事項をホワイトボードにまとめる
会議の最後に「決まったこと」を整理し、ホワイトボードに記載しましょう。
例
対応策:「来週から歩行訓練を強化する」
担当者:「PTの○○さんが実施」
期限:「○月○日までに経過を報告」
このように可視化することで、参加者全員が共通認識を持ち、後から「結局どうなったのか?」という混乱を防ぐことができます。
まとめ
会議を効率的に進めるためには、事前準備・ホワイトボードの活用・役割分担・結論の明確化が重要です。特にホワイトボードを活用することで、議論を整理し、視覚的に共有することができます。
次回の会議から、ぜひ取り入れてみてください。
参考文献
Rose T. Dunn: Dunn and Haimann’s Healthcare Management, Eleventh Edition