序文(はじめに)
PT(理学療法士)・OT(作業療法士)・ST(言語聴覚士)の仕事では、「このやり方で本当に良いのか?」「もっと良いアプローチはないか?」という小さな疑問が、日々の中で積み重なります。例えば、患者さんのモチベーションが上がらない、新人の指導に手応えがない、チームで意見がまとまらない。
こうした“解のない課題”に向き合うために必要なのが、創造的な問題解決の力です。
ここでは、医療・介護の現場でも使える、実践的な「アイデア発想法」を紹介します。
固定観念を壊す「逆転思考」
ふだん当たり前に行っていることを、あえて逆から考えてみる方法です。
例:
- 「患者さんのやる気がない」→「やる気が出るのを待たずに始める方法は?」
- 「もっと運動量を増やしたい」→「運動しない時間にできるトレーニングの方法は?」
“正解”にこだわらず、あえて変な答えでもいいので、発想をずらしてみましょう。ブレイクスルーのきっかけになります。態にしておくことが、ブレない進行の第一歩になります。
書いて、見て、つなげる「ホワイトボード発想」
頭の中で考えているだけでは、意外とアイデアは出ません。
書き出して可視化することが大切です。
ホワイトボードや紙に、思いついたキーワードを書き出しながら、線でつないだり、グループ分けしてみましょう。
例:「入院中にできる生活動作練習」
→「食事」「更衣」「移動」「排泄」などを並べ、それぞれに具体例を書いていく
→「ベッド上で完結できることは?」「食事中にできる練習は?」など、枝を伸ばす
“図にする”ことで、思考の幅がぐっと広がります。
チームで発想する「ブレインストーミング」
1人で考えるより、複数人で出し合う方が、質も量も上がります。
その際は、ルールを決めておくのがポイントです。
ブレストの基本ルール:
- 否定しない(どんな意見もOK)
- 数を出す(質より量)
- 思いつきで話してOK
- 他人の意見をヒントにして広げる
最初はくだらない案や笑ってしまうようなアイデアも歓迎。
その中に、後から育つ“種”が隠れていることが多いのです。
まとめ
PT・OT・STの仕事には、マニュアル通りでは対応できないことが多くあります。
そんな時こそ、「ちょっと考え方を変えてみる」姿勢が大切です。
- 当たり前を疑う「逆転思考」
- 見える化して整理する「ホワイトボード発想」
- チームで考える「ブレインストーミング」
日々の気づきをヒントにしながら、創造的に、前向きに問題と向き合っていきましょう。
小さな工夫が、患者さんにも、チームにも、きっと良い変化をもたらしてくれます。
参考文献
Rose T. Dunn: Dunn and Haimann’s Healthcare Management, Eleventh Edition