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新人がすぐ辞めてしまう職場に必要な“安心感”とは【PT・OT・ST向け】

序文(はじめに)

「やっと採用できた新人が、また辞めてしまった…」
「どうしてうちの職場は、若手が定着してくれないのだろう」
「自分の教え方や関わり方が悪いのではないかと、だんだん自信がなくなってきた」

教育担当や現場のリーダーとして、このような現実に直面し、強い責任感と焦りで一人悩んではいませんか。日々の業務に追われる中で、なんとか時間を捻出して新人指導にあたっても、相手の心が離れていってしまう。その無力感や葛藤は、本当に苦しいものだと思います。

しかし、「最近の若手は忍耐力がない」と片付けてしまう前に、一度立ち止まって考えてみたいことがあります。それは、職場に「心理的な安心感」が足りていないのではないか、という視点です。この記事では、高価な研修制度やツールではなく、日々の関わりの中で「安心感」を育むための、3つの具体的なヒントをご紹介します。

1. 「知らない」と表明できる機会を、先輩からつくること

新人が最も恐れることの一つは、「こんなことも知らないのか」と周囲に思われることです。「忙しそうな先輩に、初歩的な質問をしてはいけない」というプレッシャーが、新人を孤立させ、不安を増大させます。

この空気を変えるために、リーダーや先輩から「知らない」と表明する姿を見せることが有効です。例えば、カンファレンスなどで少しでも迷う点があれば、「この解釈で合っているか、私も自信がないから一緒に確認してもらえる?」と、あえて後輩を巻き込んでみてください。

「いつでも質問してね」という言葉だけでは、新人は質問できません。「先輩も迷うことがある」「分からないことは確認してもいい」という具体的な行動が、職場全体の「知らないことは恥ではない」という空気をつくり、新人が声を上げるハードルを劇的に下げます。

2. 「失敗」を個人の責任ではなく、チームの「学び」に変えること

医療現場において、失敗は許されないという緊張感は常にあります。しかし、新人がミスをした(あるいは、しそうになった)時、その対応が「誰が悪いのか」という個人の追及に終始してしまうと、新人は恐怖心からミスを隠すようになってしまいます。これは、本人にとっても組織にとっても、最も危険な状態です。

大切なことは、起きた事象を「個人の問題」ではなく「チームの課題」として捉え直すことです。ミスが発覚した時こそ、リーダーの出番です。「報告してくれてありがとう。どうすれば今後、チームとしてこれを防げるか一緒に考えよう」と伝えるのです。

失敗を責めるのではなく、再発防止の仕組みを考えるための貴重な「学びの機会」としてチーム全体で共有する。その姿勢が、「ここなら失敗しても見捨てられない」という新人の強い安心感につながります。

3. 「できていること」に光を当てる、具体的な声かけをすること

多くの新人は、「自分はちゃんと成長できているだろうか」「職場で浮いていないだろうか」と、常に不安を感じています。リーダーや先輩が忙しさのあまり、新人の「できていないこと」や課題ばかりに目を向けてしまうと、その不安は確信に変わってしまいます。

新人との関わりで最も重要なことは、「あなたのことを見ていますよ」というサインを送り続けることです。これは、長時間の面談をすることではありません。

「今日の〇〇さんへの声かけ、とても丁寧で良かったですよ」 
「先週よりカルテの所見が具体的になってきましたね」

このように、ほんの一言で良いのです。本人が気づいていないかもしれない「小さな成長」や「できている事実」を具体的に言葉にして伝えること。この積み重ねが、新人の自己肯定感を育み、「自分はここにいてもいいんだ」という居場所としての安心感を醸成していきます。

おわりに

新人がすぐに辞めてしまう現実は、教育担当者にとって、これ以上ないほど重い悩みです。しかし、その状況を変えるために、今すぐ大きな改革を始める必要はありません。

職場の「安心感」とは、立派なマニュアルや制度がつくるのではなく、現場で働く私たち一人ひとりの、日々の小さな関わりが生み出すものです。「先輩も迷う姿を見せること」「失敗を学びの機会とすること」「小さな成長を言葉にすること」。

これらはすべて、あなたが明日からでも、いや、今日からでも意識できることばかりです。まずは一つの行動からで構いません。あなたのその小さな変化が、新人の不安を和らげ、職場の空気を変える確かな一歩となります。あなたの行動が、未来のチームをつくっていきます。

参考文献

Rose T. Dunn: Dunn and Haimann’s Healthcare Management, Eleventh Edition

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執筆│梅木  編集│西口 監修│

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