序文(はじめに)
日々の業務に追われながら、「もう少しスムーズにできないか」と感じる場面は、PT・OT・STにとって日常茶飯事です。
管理職やリーダーという立場になると、チーム全体の動きや連携も視野に入れなければならず、個人だけでなく仕組みで支える視点が求められます。
効率を上げることは、単にスピードを上げることではなく、本当に時間をかけるべき仕事に集中できる環境をつくることです。
今回は、現場で取り組みやすい業務効率化のためのヒントを3つに絞って紹介します。
1. 「見える化」で全体の流れを整える
まず取り組みたいことは、「誰が・何を・いつまでに」やるかが明確に見える状態をつくることです。
情報やタスクが頭の中やバラバラなメモにとどまっていると、確認の手間・すれ違い・やり直しが生じ、チームのリズムが乱れます。
具体的な工夫例:
- ホワイトボードの活用
・リハ計画・担当者・期日などを一覧化。チーム全員で進捗が把握できるようにする - 共有カレンダーやタスク表
・提出期限、会議日程、報告のタイミングなどをオンラインでも見える形に統一
「見える」ことは安心につながり、確認や報告のストレスを減らす仕組みになります。
2. 動線と手順を見直す
効率化はPCやアプリの話だけではありません。「日々の動き」そのものを見直すことも大切です。
たとえば、
- 書類を出すたびに遠くの棚まで行っている
- 同じことを複数人が聞きに来るたびに同じ説明をしている
- 物品の置き場が曖昧で、探す時間が発生している
こうした、なんとなくの非効率は意外と多く、積み重なると大きな時間のロスになります。
改善のヒント:
- 使用頻度が高い物品の配置を見直す
- 手順を紙にまとめて貼り出す(新規入職者の質問対応の手間も減る)
- チーム全体で「この流れ、無駄があるかも」と一緒に見直す機会をつくる
小さな調整が、チーム全体のストレスや滞りを減らしてくれます。
3. 目的・成果・効果を確認しながら進める
何かを改善しようとすると、「とりあえず便利そうだから導入してみる」という進め方になりがちです。
しかし本当に大事なことは、その取り組みが「なぜ必要なのか」「どう役立っているのか」をチームで確認し続けることです。
考えるべき3つの視点:
- 目的:この仕組みを導入する理由は何か?
- 成果:この仕組みでチームや患者さんにどんな良い変化を出したいのか?
- 効果:時間や労力はどのくらい削減されたか?
振り返りの場を意識的に持ち、「やって終わり」にしないことが、改善の定着につながります。
ホワイトボードの掲示物も、「更新が止まっていないか?」「誰も見ていない状態になっていないか?」などを時折チェックしていくことが大切です。
まとめ
業務効率を上げることは、日々の仕事を“楽にする”ためだけでなく、本当に大切な時間を守るための取り組みです。
まずは、チームで共有できる見える仕組みを整え、動線や手順を整理し、そこに「何のためにやるのか」という目的の意識を添えて進めていきましょう。
小さな改善でも、積み重ねることで現場は確実に変わっていきます。
今日の一歩が、明日の働きやすさをつくります。
参考文献
Rose T. Dunn: Dunn and Haimann’s Healthcare Management, Eleventh Edition