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TKA,ROM ,疼痛 |2023.02.06|最終更新:2023.02.06|理学療法士が監修・執筆しています
✅ 創部周囲への介入時期 ✅ アイシングの必要性 ✅ 疼痛部位の種別とその理由 |
TKA術後の理学療法
臨床に必要なTKA後の疼痛・ROM制限に関する知見
前回の『TKA術後理学療法筋力低下に関する知見』は見ていただけたでしょうか。
非常に痒い所に手が届くセミナーで、臨床に生かすことのできる考え方が満載でした、、
まだ見ていない方はこちらからどうぞ!
今回は1月19日に行われた
『TKA術後の理学療法 臨床に必要なTKA術後の疼痛・ROM制限に関する知見』に関して前回同様にブログ記事形式でまとめました!
術後疼痛・ROMも本当に悩みどころですね、、
アーカイブを見たい方はこちらからどうぞ
では解説していきます!
いつまでに疼痛・痛みをとる必要があるか。
まずは疼痛が症状として固定してしまうのはいつまででしょうか。
急性期や回復期病院として疼痛に対しての理学療法介入が必要な理由はどこにあるでしょうか。
TKA術後3〜6ヶ月でプラトー、そのため術後3ヶ月までにどこまで疼痛を低く抑えることができるかが重要となる。
Lewis GN, Rice DA, McNair PJ, Kluger M. Predictors of persistent pain after total knee arthroplasty: a systematic review and meta-analysis. Br J Anaesth. 2015;114(4):551-561.
TKA術後では長期疼痛のアウトカムが好ましくない割合が10〜34%
Beswick AD, Wylde V, Gooberman-Hill R, Blom A, Dieppe P. What proportion of patients report long-term pain after total hip or knee replacement for osteoarthritis? A systematic review of prospective studies in unselected patients. BMJ Open. 2012;2(1):e000435. Published 2012 Feb 22. doi:10.1136/bmjopen-2011-000435
先生の体感、研究結果からのポイント
下記は先生が集計した患者さんの経過です。
評価時期 | 動作 | 内訳(名) | 割合 |
TKA術前 | 歩行時 | 70/73 | 95% |
TKA術後(3ヶ月) | 歩行時 | 17/73 | 23% |
先行研究と同様に大体2割程度の疼痛症状の遺残が認められています。
やはり、
まず、組織の修復過程について考えます。
TKA術後の軟部組織修復過程
炎症期間は具体的にいつ?
時期 | 血液凝固期 | 炎症期 | 増殖期 | 瘢痕形成期 |
所要時間 | 数時間以内 | 1~6日 | 3~20日 | 9日~ |
おおむね経過時間、日数によって上記の時期に分けられますが、急性期では術後翌日からの介入も多いですよね。
介入の時期、特に創部周辺に対してアプローチするタイミングはいつからがいいでしょうか?
山田英司 他, 文光堂, 2018;人工膝関節置換術後の理学療法
Loyd BJ, Stackhouse S, Dayton M, Hogan C, Bade M, Stevens-Lapsley J. The relationship between lower extremity swelling, quadriceps strength, and functional performance following total knee arthroplasty. Knee. 2019;26(2):382-391.
Zeng Y, Feng W, Qi X, et al. Differential knee skin temperature following total knee arthroplasty and its relationship with serum indices and outcome: A prospective study. J Int Med Res. 2016;44(5):1023-1033. doi:10.1177/0300060516655237
軟部組織修復過程を考慮した理学療法介入のポイント
経過日数 | 直接触れるタイミング |
~4日 | 触らない |
5~21日 | 少しずつ触っていく |
21~60日 | 遅い |
3週以降となってしまうとROMに制限が出る可能性が高くなるため、4〜5日目から少しずつ触ってみるのが良いというのが現在の結論ですね。
島田昇. 理学療法の臨床と研究, 2019; 人工膝関節置換術後患者に対する理学療法管理
アイシング・患部を冷やすことは本当に疼痛状態の改善に効果的なのか?
術後早期は熱感もあり、とりあえず氷嚢やその他のデバイスによって冷やす。ということが固定概念や意識としてある方も多いと思います。
実際に疼痛に対してアイシングは効果があるのでしょうか。
結論:デバイスよって効果あり、効果なしが混在しており、論文によって見解が分かれているのが現状。明確なエビデンスはない。
Thacoor A, Sandiford NA. Cryotherapy following total knee arthroplasty: What is the evidence?. J Orthop Surg (Hong Kong). 2019;27(1):2309499019832752.
判断は依然として別れる部分があるようです。
対象の方には、疼痛以外の要素も加味し、害が益を上回るのか総合してみる必要性がありますね。
疼痛を把握する問診におけるポイント
学生の方は特にそうだと思いますが、効率的にもれなくダブりなく評価を行うためには、問診方法は重要ですね。
ここでは、問診におけるポイントをあげます。
Where
・局在性or広範囲
・深部or表在
When
・安静時
・運動時
・荷重時
・夜間時
How
・ズキズキ
・ジンジン
・ビリビリ
・重いorだるい
TKA術後の疼痛:部位による疼痛の違い
疼痛部位は対象によってさまざまではありますが、疼痛を訴えやすい部分はどこでしょうか。
膝蓋下脂肪体≒疼痛増幅装置?
ある整形外科医の研究では、
・膝蓋下脂肪体が一番疼痛が強い。
とされています。
行った研究で疼痛感度別に分類したものが下記です。
疼痛感度 | 疼痛部位 |
4 | 膝蓋下脂肪体 |
3-4 | 膝蓋上包、ACL起始部・停止部 |
2-3 | 半月板前節 |
1 | ACL実質部、半月板脛骨付着部、顆部軟骨 |
0 | 膝蓋骨軟骨 |
痛み早見表
0:何も感じない
1:感じる程度
2:ちょっと痛い
3:痛い
4:とても痛い
Dye SF, Vaupel GL, Dye CC. Conscious neurosensory mapping of the internal structures of the human knee without intraarticular anesthesia. Am J Sports Med. 1998;26(6):773-777.
膝関節とその他の疼痛要因との関連性
膝関節疼痛と関連が認められているものでは、
他にも
・水腫
・膝窩部の嚢胞
・滑膜の肥厚
があります。
そのため、異常な腫れや疼痛が重度の場合は、穿刺(プンク)がいるかもしれないとのことでした。
Hill CL, Gale DG, Chaisson CE, et al. Knee effusions, popliteal cysts, and synovial thickening: association with knee pain in osteoarthritis. J Rheumatol. 2001;28(6):1330-1337.
TKA術後の膝関節内側部疼痛に関する知見
これもまた、臨床でよく経験する悩みです。
膝関節内側に疼痛を訴える患者さんは一定数いると思いますが、
その原因としては下記項目が挙げられており、今回は下3つをご紹介します。
・伏在神経由来
・閉鎖神経由来
・心理社会的因子(破局的思考)
伏在神経由来の疼痛
伏在神経の解剖
ポイント
・皮切すると表面に出てくる神経であり、傷つきやすい。
・TKA術後ではよく出ててくる可能性が高い。
・レトラクターで伏在神経を圧迫し、損傷が生じる場合もある。
・感覚障害は内、外、下腿部に出やすい。
松田秀一ら, 羊土社, 2021; TKA UKA人工膝関節置換術パーフェクト
Lee SR, Dahlgren NJP, Staggers JR, et al. Cadaveric study of the infrapatellar branch of the saphenous nerve: Can damage be prevented in total knee arthroplasty?. J Clin Orthop Trauma. 2019;10(2):274-277. doi:10.1016/j.jcot.2018.03.005
Hill CL, Gale DG, Chaisson CE, et al. Knee effusions, popliteal cysts, and synovial thickening: association with knee pain in osteoarthritis. J Rheumatol. 2001;28(6):1330-1337.
伏在神経の主な臨床症状
臨床症状 | 不快感が『疼く』・『鋭く燃えるような』 |
部位 | 膝前面から外側コンパートメント(腓骨近く)に向かい、遠位から近位内側下肢に向かって放射状に広がる不快感。 |
程度 | 運動中VASで60〜100 |
評価 | 膝関節内側領域に対するTinelテストで膝内側領域に不快感+ |
Clendenen S, Greengrass R, Whalen J, O’Connor MI. Infrapatellar saphenous neuralgia after TKA can be improved with ultrasound-guided local treatments. Clin Orthop Relat Res. 2015;473(1):119-125. doi:10.1007/s11999-014-3812-6
TKA術後の内側部痛の原因は、鵞足部?伏在神経?
評価・判断基準
伏在神経由来 | 鷲足部由来 |
放散痛 | 現局的な疼痛 |
圧痛所見なし | 圧痛所見あり |
Tinel兆候あり | Tinel兆候なし |
感覚障害あり | 感覚障害なし |
上記の判断材料を含め、MCLの痛みの可能性もあるため、ストレステストや圧痛所見で総合的に判断する必要があります。
Hill CL, Gale DG, Chaisson CE, et al. Knee effusions, popliteal cysts, and synovial thickening: association with knee pain in osteoarthritis. J Rheumatol. 2001;28(6):1330-1337.(2回目)
さらに内容を知りたい方に
っと、、ブログでお伝えできるのはここまで!ごめんなさい、、
ここまでの内容で動画の10分程度までです!まだまだ面白く、勉強になる内容が動画には盛沢山です。
可動域制限に関しても深く掘り下げて解説していただいています!
以降はわかりやすく解説している下の画像をクリックして、アーカイブ動画をチェックしてみてください!
ただ、
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本日公開!
昨年12月22日の大西先生のセミナーを改めてブログで解説!
会員様は文献等の復習に!まだみていない方は触りだけでも!TKAわかった気になっていませんか?🤔
個人的にも来週1月19日の『ROM制限に関する知見』が楽しみです☺️https://t.co/I5D15flr22
— てろろぐ@リハオンデマンドブログ (@terolog_pt) January 13, 2023
是非是非感想もお待ちしてます!
さ・ら・に!
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TKA後のより実践的な部分に迫っていきます。
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本記事の執筆・監修・編集者
反響があれば追記で内容をアップデートしますので…!!
では、今度のライブセミナーでお会いしましょう!
✅セミナー講師(大西先生)✅記事監修(幸)✅執筆・編集(てろろぐ)
本記事では、著作権の都合上、論文の図表や大西先生のデータに関しては掲載を行っておりません。
参考文献
Lewis GN, Rice DA, McNair PJ, Kluger M. Predictors of persistent pain after total knee arthroplasty: a systematic review and meta-analysis. Br J Anaesth. 2015;114(4):551-561.
Beswick AD, Wylde V, Gooberman-Hill R, Blom A, Dieppe P. What proportion of patients report long-term pain after total hip or knee replacement for osteoarthritis? A systematic review of prospective studies in unselected patients. BMJ Open. 2012;2(1):e000435. Published 2012 Feb 22. doi:10.1136/bmjopen-2011-000435
山田英司 他, 文光堂, 2018;人工膝関節置換術後の理学療法
Loyd BJ, Stackhouse S, Dayton M, Hogan C, Bade M, Stevens-Lapsley J. The relationship between lower extremity swelling, quadriceps strength, and functional performance following total knee arthroplasty. Knee. 2019;26(2):382-391.
Zeng Y, Feng W, Qi X, et al. Differential knee skin temperature following total knee arthroplasty and its relationship with serum indices and outcome: A prospective study. J Int Med Res. 2016;44(5):1023-1033.
島田昇. 理学療法の臨床と研究, 2019; 人工膝関節置換術後患者に対する理学療法管理
Thacoor A, Sandiford NA. Cryotherapy following total knee arthroplasty: What is the evidence?. J Orthop Surg (Hong Kong). 2019;27(1):2309499019832752.
Dye SF, Vaupel GL, Dye CC. Conscious neurosensory mapping of the internal structures of the human knee without intraarticular anesthesia. Am J Sports Med. 1998;26(6):773-777.
Hill CL, Gale DG, Chaisson CE, et al. Knee effusions, popliteal cysts, and synovial thickening: association with knee pain in osteoarthritis. J Rheumatol. 2001;28(6):1330-1337.
松田秀一ら, 羊土社, 2021; TKA UKA人工膝関節置換術パーフェクト
Lee SR, Dahlgren NJP, Staggers JR, et al. Cadaveric study of the infrapatellar branch of the saphenous nerve: Can damage be prevented in total knee arthroplasty?. J Clin Orthop Trauma. 2019;10(2):274-277.
Clendenen S, Greengrass R, Whalen J, O’Connor MI. Infrapatellar saphenous neuralgia after TKA can be improved with ultrasound-guided local treatments. Clin Orthop Relat Res. 2015;473(1):119-125.