序文(はじめに)
「せっかく動画研修を導入したのに、思うように活用されていない…」
「『いつでも学べる』はずが、かえって誰も見なくなってしまった」
「研修の必要性はみんな感じているはず。でも、どう働きかければ良いか分からない」
多忙なリハビリ現場を良くしようと動画研修を取り入れたものの、このような壁に直面している教育担当者やリーダーの方もいらっしゃるのではないでしょうか。日々の業務に追われる中で、新しい学習ツールを根づかせることは簡単ではありません。そのもどかしさや責任感に、一人で悩んでしまうこともあるかと思います。
大切なことは、導入して終わりにしないこと。この記事では、動画研修を「ただのツール」で終わらせず、現場の力に変えていくためにリーダーができる、明日から試せる3つの具体的な工夫をご紹介します。
1. リーダー自らが「楽しんで学ぶ姿」を見せること
スタッフにとって、研修が「やらなければいけない業務」と映ってしまっては、その効果は半減します。まず大切なことは、リーダー自身が「楽しんで学んでいる姿」をオープンに見せることです。
例えば、朝のミーティングで「昨日見た〇〇の動画、自分の視点が少し変わって面白かったですよ」と軽く共有したり、後輩との会話の中で「そういえば、この前の動画でこんな手技が紹介されていたけど、試してみる価値ありそうだね」と話題に出したりする。
ここでのポイントは、視聴を強制することではなく、リーダー自身の純粋な発見や面白さを伝えることです。「上司・先輩からの指示」ではなく「仲間からの情報共有」として伝わることで、スタッフも「自分も見てみようかな」と自然な興味を抱くきっかけになります。
2. 臨床の「小さな疑問」と動画を結びつけること
動画ライブラリが充実していても、スタッフは「今、自分に何が必要か」「どの動画を見れば良いか」が分からず、行動に移せないことがよくあります。そこでリーダーが担うべき役割は、臨床現場で生まれる疑問と動画とを繋ぐ「橋渡し役」です。
例えば、若手スタッフから「〇〇さんの浴室の環境調整に悩んでます」と相談されたとします。その時、「良い質問だね。そういえば訪問リハの環境調整に関する動画があったはず。5分くらいだから、後で一緒に見てみない?」と提案してみる。
このように、現場で生まれた具体的な課題や疑問を起点に動画を提示することで、学習の目的が明確になります。「なんとなく学ぶ」のではなく、「課題を解決するために学ぶ」という意識が生まれ、動画研修の価値が飛躍的に高まります。
3. 「視聴」を「実践」に変える場を意図的につくること
動画を見るだけで満足してしまい、知識が実践に結びつかない「視聴疲れ」も、よくある課題の一つです。インプットした情報を自分のものにするためには、アウトプットする機会が不可欠です。
そこで月に一度、カンファレンスの最後の10分間を「動画で学んだことの共有会」に設定してみてはいかがでしょうか。ルールは「各自が視聴した動画の中から、現場で活かせそうな工夫や視点を一つだけ発表する」というシンプルなものです。
大掛かりな発表準備は不要とし、あくまで「共有」に重きを置くことが継続のコツです。他者の視点に触れることで学びが深まり、「自分も次はこれを試してみよう」という実践への意欲が湧いてきます。視聴で終わらせないこの小さな仕組みが、学びを現場の力へと変えていきます。
まとめ
動画研修という便利なツールを現場に根づかせることは、決して楽な道のりではありません。しかし、その成否はツールの機能だけで決まるのではなく、リーダーであるあなたの関わり方一つで大きく変わります。
今回ご紹介した「自ら楽しむ姿を見せること」「臨床の疑問と結びつけること」「実践の場をつくること」。
これらはすべて、明日からでも始められる小さな工夫です。
まずは、あなた自身が面白いと感じる動画を一本見つけて、その発見を隣の同僚に話すことから始めてみませんか。あなたのその主体的な行動が、職場の学ぶ空気を変える確かな一歩となります。変化は、あなたの小さな行動から生まれます。
参考文献
Rose T. Dunn: Dunn and Haimann’s Healthcare Management, Eleventh Edition


