運動に加えて蛋白質の補助食品を摂取することは、筋肉量や筋力向上に有効であると考えられています。
前回、栄養補助食品がフレイル、サルコペニアの人に効果的であるという論文をご紹介しましたが、筋トレに対する付加的効果および蛋白質補助食品に限っての効果は明らかになっていませんでした(こちら)。
今回紹介する論文は「サルコペニア、フレイルに、筋トレ+蛋白質補給は効果あるの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2019年に台湾のLiaoらの研究チームは、2019年までに登録されていた19本の論文を解析しています。
結果として、
筋トレ+蛋白質補給で、
- 全身の除脂肪量は有意に向上し(SMD:0.66)、フレイル(SMD:0.90)、サルコペニア(SMD:0.44)でも有意に向上した。
- 下肢筋力は有意に向上し(SMD:065)、フレイル(SMD:0.58)、サルコペニア(SMD:0.73)でも有意に向上した。
- 歩行速度は有意に向上し(SMD:0.33)、フレイル(SMD:0.27)、サルコペニア(SMD:0.46)でも有意に向上した。
だそうです。
ただし、研究方法にバラつきがあり、対象者数が少ないため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
- 筋トレ+蛋白質補給は、フレイル、サルコペニアの筋肉量、筋力、歩行速度を向上させる。
ということになります。
運動単独と運動+蛋白質補給を比較すると、筋肉量や筋力に関して両者に差はないという報告も散見されますが、それらは健康高齢者を対象としていることが多く、サルコペニア、フレイル高齢者が含まれていてもわずかであることが少なくありません。
蛋白質を始め、栄養というものは、不足している人に対しては有効ですが、すでに充足している人に対しては、あまり効果がないようです。