高齢者人口が増加するに伴い、フレイル高齢者も増加しています。
高齢者のフレイルは、様々な有害転帰と関連しており(こちら)、フレイル状態の改善は高齢化社会にとって喫緊の課題となっています。
フレイルに対する介入研究は様々なものがありますが、QOL、認知機能、抑うつ症状に何が有効なのかについては明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「フレイル高齢者の心理社会面に効果的な介入は?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)
2019年にカナダのNegmらの研究チームは、2018年2月までに登録されている66件の論文を解析しています。
結果として、
- フレイルに対しては、身体活動単独と身体活動+栄養補給で有効性が認められた。
- QOLに対しては、身体活動と多面的な介入で有効性が認められた。
- 認知機能に対しては、身体活動と薬剤調整で有効性が認められた。
- 抑うつ症状に対しては、身体活動と薬剤調整で有効性が認められた。
だそうです。
ただし、全体的に質が低く、対象者も少ないため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
- フレイル高齢者の心理社会的な問題に対しては、身体活動が最も有効。
ということになります。
身体活動は多くの生活習慣病やサルコペニアの予防・改善に有効と言われていますが、心理社会的側面にも効果があるというのは重要なことだと思います。
「老年期うつ」と言われるように、高齢者では抑うつ傾向になりやすく、それに伴って認知機能やQOLも低下してしまいます。
「Exercise is Medicine」と言われるように、高齢者の健康維持には身体活動をいかに増やすかが大切だと思います。