ボバースコンセプトは、脳卒中を始め、多くの疾患の治療概念として日本でも広く用いられています。
ボバースコンセプトは、感覚運動機能や姿勢コントロールの回復に有効であることが理論的に認められています(こちら)。
しかし、ボバースコンセプトが他の治療法のよりも優れているかどうかについては明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「ボバースコンセプトは他の治療よりも有効なの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2019年にスペインのDíaz-Arribasらの研究チームは、2018年1月までに登録された15本の論文を分析しています。
結果として、
- 運動能力については15本中6本が評価しており、4本で他の治療法との差が認められなかった。
- 下肢機能については15本中7本が評価しており、5本で他の治療法との差が認められなかった。
- バランス能力については15本中5本が評価しており、3本で他の治療法との差が認められなかった。
- ADLについては15本中8本が評価しており、6本で他の治療法との差が認められなかった。
だそうです。
ただし、介入方法や対象者にバラつきがあるため、今後さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
- ボバースコンセプトは、他の治療法と比較して有効とは言えない。
ということになります。
今回の結果は、決してボバースコンセプトが無意味だと言っているのではなく、他の治療法と比較して有効性が高いとは言えないというだけです。
ボバースコンセプトは効果的な治療法だと思いますし、科学的にも有効だと思います。
ただし、なんでもかんでもボバースコンセプトに基づいて治療をするのではなく、ボバースコンセプトが効果的な症例かどうかをちゃんと評価した上で用いる必要があると思います。
評価をして、有効と思われる治療を提示し、選択してもらい、実際にやってみて、効果があれば継続し、なければ再評価という流れが行えることが大切だと思います。