高齢者のフレイルは転倒、入院、死亡、せん妄、機能障害などのリスク因子で、社会的に影響を与えます(こちら)。
フレイルの発症率に関しては、複数の先行研究がありますが、地域や人種など、母集団の設定によってバラつきがあったため、大規模調査での発症率については不明でした。
今回紹介する論文は「世界的なフレイル・プレフレイルの発症率は?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2019年にオーストラリアのOfori-Asensoらの研究チームは、2019年1月までに登録されている48本の論文を解析しています。
結果として、
- フレイルでない人がフレイルになった割合は、平均追跡期間3年で13.6%であり、1年で43.4/1000人が発症していた。
- フレイルでない人がプレフレイルになった割合は、平均追跡期間5年で30.9%であり、1年で150.6/1000人が発症していた。
だそうです。
ただし、診断基準や対象者にバラつきがあるため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
- 年間で、フレイルは約4%、プレフレイルは約15%発症する。
ということになります。
年間で見ると、フレイルもプレフレイルも発症率が多いですね。
地域在住高齢者でこの数字なので、病院や施設、デイサービスなどを利用している高齢者では、もっと多いことが予想できますね。
厚労省もフレイル対策を打ち出しているので、我々セラピストもどう関わっていけるか考えていかなければいけないと思います。