人工関節置換術(TJA)では、術後感染症が予後不良因子として重要です。
TJAの術後感染症予防の一つとして、口腔環境評価が挙げられています(こちら)
しかし、口腔環境を評価することと術後感染症との関連は明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「TJA術前の口腔環境評価は術後感染症に有効なの?」という論文です(こちら)
2019年にアメリカのFreyらの研究チームは2019年2月までに登録されている8本の論文を解析しています。
結果として、
口腔環境に問題がある患者は8.8~29.4%存在していた。
術前の口腔環境の評価は、4本中2本の論文で効果が認められた。
だそうです。
ただし、研究方法にバラつきがあり、対象者数も少ないため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
TJAを施行予定の患者では、術前に口腔環境の評価を行うと術後感染症が減るかどうかは明確になっていない
ということになります。
年齢層やフレイル状態かどうかなど、患者のキャラクターで口腔環境評価の有用性は異なるのではないかと思います。
高齢者やフレイルであれば、口腔環境整備は肺炎予防につながりますので、術前・術後の口腔ケアは重要だと思います。