高齢者に対しての栄養介入は筋肉量や筋力を増やすことができる、ということはすでに明らかになっています(こちら)
しかし、この調査の対象者は地域在住高齢者であり、病院に入院中の患者ではどのような介入が有効かは不明でした。
今回紹介する論文は「入院中の高齢患者に有効な栄養介入は?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)
2020年にオーストラリアのRusらの研究チームは、2018年8月までに登録されている6本の論文を解析しています。
結果として、
栄養介入は、全ての研究でたんぱく質強化が主で、10~40gの範囲で付加されていた。
Oral nutrition support(ONS)は、運動介入とセットで行われていた。
介入期間は2週間~12か月と幅が広かった。
栄養介入は、握力を向上させた(1.97 kg [95% CI=0.55-3.39])。
筋肉量、身体機能、ADL能力に対しては、栄養介入の効果が不明であった。
だそうです。
ただし、研究数が少なく、研究方法にバラつきがあるため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
高齢入院患者への栄養介入はたんぱく質強化が主で、握力を向上させる効果がある。
ということになります。
今回は握力以外で効果が不明でしたが、高齢入院患者では入院理由の疾患以外にも基礎疾患や生活歴など関連因子が多様なため、一律の介入方法で効果を証明するのは難しいのではないかと思います。
病態や背景因子、患者さんの嗜好など様々な関連因子を考慮して、個別的に介入方法を検討する必要があるのかもしれません。