慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者では、慢性的に呼吸苦やそれに伴う活動範囲の縮小などから、不安や抑うつといった精神症状が出現することが少なくありません。
2018年にフランスのUndernerらの研究チームはシステマティックレビューを行い、不安症状は6.7~58%、抑うつ症状は5.5~51.5%の患者に認められ、COPDの増悪と関連していることを報告しています(こちら)
しかし、COPD患者に対する呼吸リハビリテーションが、不安や抑うつ症状に効果があるかは不明でした。
今回紹介する論文は、「呼吸リハは不安や抑うつに効果があるの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2019年にオーストラリアのGordonらの研究チームは、2018年2月までに登録されていた11本の論文を解析しています。
結果として、
- 通常のケアと比較して、呼吸リハビリテーションは不安症状(SMD:-0.53)と抑うつ症状(SMD:-0.7)を改善させることができた。
- この効果は、呼吸リハビリテーションの期間の長さには影響を受けなかった。
だそうです。
ただし、対象者数が少なく、調査方法にバラつきがあるため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
- 呼吸リハビリテーションを行うと、期間に関係なく不安症状と抑うつ症状が改善する。
ということになります。
呼吸器疾患患者さんの不安や抑うつ症状は臨床場面でも大きな問題で、リハビリテーションの阻害因子になります。
実際に、不安や抑うつ症状があると、生命予後および機能予後が悪いことも言われています。
不安や抑うつ症状はフレイルの入り口にもなり得るので、呼吸リハビリテーションを行って早く改善させる必要がありますね。