呼吸リハビリテーション(以下、PR)は、COPD患者に対して様々な良い効果をもたらすことが明らかになりつつあります。
2015年のCochrane Libraryの65論文、3822人のCOPD患者を含んだシステマティックレビューでは、PRを行うと呼吸困難感、疲労感、感情、QOL、運動能力が改善することが示されている(こちら)。
しかし、COPD急性増悪による入院が減るのかどうかについては分かっていませんでした。
今回紹介する論文は、「PRはCOPD患者の入院を減らせるの?」という疑問に応えてくれる論文です。
イギリスの公衆衛生省の研究チームが、2015年9月までの期間にCOPD患者に対してPRを行い、急性増悪による入院をアウトカムとしている論文18本を分析しています(こちら)。
結果として、
RCTの分析では、通常ケア群はPR群と比較して、入院が多かった(年間0.97回 /人vs 0.62回/人)。
- 前後比較の分析でも、通常ケア群はPR群と比較して、入院が多かった(年間1.24回/人 vs 0.47回/人)。
- コホート研究の分析では、通常ケア群はPR群と比較して、入院が少なかった(年間0.18回/人 vs 0.28回/人)。
だそうです。
つまり、PRはCOPD患者の急性増悪による入院率を減少させる可能性はありますが、調査方法によっては結果にバラつきがある、ということです。
ただし、著者らはサンプル数が少ない、各論文の調査方法にバラつきがあるため、今後さらなる研究が必要と述べています。
結果をまとめますと、
PRはCOPD患者の入院率を減らせるかもしれない。
しかし、それぞれの研究の方法がバラバラなので、本当にPRの効果があるかどうかはまだわからない。
ということになります。
PRには様々な予後を改善させる効果があると言われることが多いですが、入院率に関しては、まだハッキリとしたことは分かっていないようですね。
それでも、身体機能や精神心理面には良い効果が認められているので、PRは積極的に行った方が良いでしょうね。