変形性関節症(以下,OA)に対して、運動療法は効果的な治療法としてガイドラインにも記載されています。
2014年にイギリスの研究チームが行ったメタ解析では、下肢のOAには筋力訓練、柔軟運動、有酸素運動が効果的であることが示されています(こちら)。
しかし、どのようなアウトカム、どのような患者に効果的かは明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は、「OAに対する運動の効果、効果的な期間、効果が出やすい対象者何か?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
イギリスの研究チームは2017年12月までの期間に登録された77のRCT論文が解析されています。
結果として、
- 運動は痛み、身体機能、パフォーマンス、QOLを改善させるのに有効だった。
- 運動の効果は、2ヶ月でピークになり、その後徐々に減少し、9ヶ月を越えると通常ケアと差がなかった。
- 疼痛軽減効果は、60歳未満の人、膝OAの人、関節置換術を受けていない人で大きかった。
だそうです。
ただし、含まれている論文の間で参加者の特徴が異なること、介入方法が異なることから、さらなる研究が必要であるそうです。
結果をまとめますと、
- 9ヶ月までは、運動は痛み、身体機能、パフォーマンス、QOLを向上させるのに有効。
- 痛みが軽くなる人には、60歳未満、膝OA、保存的治療中という特徴があった。
ということになります。
9ヶ月以降に通常ケアと同程度になる理由として、運動の継続性が下がることが考えられると思います。
どうやって運動を継続させるかが、運動の効果を持続させるポイントなのではないかと思います。