外来心臓リハビリテーション(以下,CR)は,近年少しずつ広まってきています.
これまでのCRのガイドラインでは,レジスタンストレーニングに加えて中等度から高強度の有酸素運動を行うことが推奨されています(こちら).
ですが,「じゃあ,実際はどれくらいやればいいの?」ということは,はっきりとはわかっていませんでした.
今日取り上げる論文は,その「どれくらいやればいいの?」に応えてくれる,カナダのヨーク大学の研究チームのメタ解析論文です(こちら).
2015年11月30日までの期間の33本の論文,対象者4084人が抽出されています.
抽出された研究を,CRを行った回数で,
・少ない(12回未満)
・中ぐらい(12~35回)
・多い(36回以上)
に分けて,死亡率や手術を受けた割合を比較しています.
結果として,
・全ての群で,全ての原因の死亡率が減少した.
・全ての原因の死亡率は.少ない群:26%、中ぐらい群:41%、多い群:43%でした.
・回数が多い群は,中ぐらいの群,少ない群と比較して,経皮的冠動脈インターベンション術を受ける確率が.35%減少した。
・心血管由来の死亡率,全ての原因の入院,冠動脈バイパス術を受ける確率,心筋梗塞発症率には,回数の多さは影響していなかった.
とのことです.
ただ,著者は今回考慮されていない因子があったり,研究のデザインにバラつきがあったりしているため,今後さらなる研究の必要性を述べています.
最後に結果をまとめると,
・CRは回数に限らず全体の死亡率を下げるが,より効果を上げたいときは12回以上は必要.
・経皮的冠動脈インターベンション術を回避するためには,最低36回のCRが必要
ということになります.
CRは,どうやって継続させ行くかということがいつも課題として挙げられます.
今回の結果を使って,回数の目安を提示することができるので,CRの継続率を上げることに寄与できるかもしれませんね.