心臓リハビリテーション(心リハ)において、有酸素運動は全世界の心リハプログラムの中で推奨されています(こちら)。
有酸素運動の種類として、全身運動であるトレッドミル運動と局所的な運動である自転車運動が主に採用されていますが、両者の効果の違いについては明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「心リハではトレッドミル運動と自転車運動はどちらが効果的なの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2020年にメキシコのGerlachらの研究チームは、2018年12月までに登録されている23本の論文を解析しています。
結果として、
VO2peakの向上は、自転車運動の方がトレッドミルよりも効果量が大きかった(Hedges’ g=0.85対0.46)。
自転車運動は、冠動脈疾患患者(CAD)の方が慢性心不全患者(CHF)よりも効果量が大きかった(Hedges’ g=1.03対0.40)。
トレッドミルは、CHFの方がCADよりも効果量が大きかった(Hedges’ g=0.94対0.33)。
だそうです。
疾患によってトレッドミルと自転車で効果に違いがあるのは興味深いですね。
急性疾患と慢性疾患の違い、患者層(年齢、身体機能など)の違いなどが影響している可能性が考えられます。
全体としては自転車運動の方が有効であることが示されましたが、トレッドミルの効果がないわけではないので、それぞれのメリット・デメリット、対象者の特性など総合的に判断して選択する必要があると思います。