心不全患者に対しての運動ベースの心リハは、その効果が複数の研究で明らかになってきています。
2014年にイギリスのTaylorらによって発表されたコクランのシステマティックレビューでは、心不全患者に対する運動ベースの心臓リハは1年以上の死亡率や入院率、QOLが改善することが報告されています(こちら)。
しかし、対象者すうが少なかったり、研究間でばらつきが認められていたため、さらなる研究が必要でした。
今回紹介する論文は、2014年の論文をupdateする形で、「心不全患者に運動ベースの心リハは効果があるの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2019年にイギリスのTaylorらの研究チームは、2013年1月から2018年1月までの期間に登録された44本の論文を解析しています。
結果として、
- 死亡率に有意な効果は認められなかった。
- 全ての原因の再入院は有意に減少した(RR:0.7)
- 心不全による入院は有意に減少した(RR:0.59)
- 健康関連QOLは有意に改善した(RR:-0.60)
だそうです。
ただし、全体的に質が高くないため、より質の高いRCTが望まれるそうです。
結果をまとめますと、
- 心不全患者に対する運動ベースの心リハプログラムは、入院率やQOLは改善させるが、死亡率には影響しなかった。
ということになります。
死亡率に影響を与えないということで、運動ベースの心リハプログラムは意味ないんじゃないかと思われる方もいるかもしれませんが、入院率やQOLを改善するということは、在宅で良い人生を全うすることができているということではないかと思います。
最近はadvance care planningやquality of deathといった、より良く死を迎えるためにどうすべきか、ということが注目されています。
より良く死を迎えるためのリハビリテーションも大切だと思います。