特発性間質性肺炎(IPF)患者では、運動プログラムが身体機能やQOLの改善に有効であることが報告されています(こちら)
しかし、有酸素運動と呼吸トレーニングそれぞれがどの程度効果があるのかについては明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「有酸素運動と呼吸トレーニングは、IPF患者にどれくらい有効なの?」という疑問に応えてくれる論文です。(こちら)
2020年に日本のHanadaらの研究チームは、2019年1月までに登録されている14本の論文を解析しています。
結果として、
6分間歩行距離は、コントロール群と比較した場合、有酸素運動、有酸素運動+呼吸トレーニング、有酸素運動+吸気筋トレーニングで有意に向上した。
運動前後での比較では、全ての運動群で有意に向上したが、運動間で差は認められなかった。
ピーク仕事率は、コントロール群と比較した場合、有酸素運動+呼吸トレーニング、有酸素運動+吸気筋トレーニングで有意に向上した。
運動前後での比較では、有酸素運動、吸気筋トレーニングでは改善が認められなかった。
呼吸困難感は、コントロール群と比較した場合、有酸素運動+呼吸トレーニングで有意に改善した。
運動前後での比較では、全ての運動群で有意に向上したが、運動間で差は認められなかった。
健康関連QOLでは、コントロール群と比較した場合、有酸素運動、有酸素運動+呼吸トレーニングで有意に改善した。
運動前後での比較では、有酸素運動+呼吸トレーニングでのみ改善が認められた。
だそうです。
ただし、介入方法や対象者にバラつきがあるため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
IPF患者に対して、有酸素運動+呼吸トレーニングは運動耐容能、呼吸困難感、健康関連QOLを改善させることができる。
ということになります。
IPF患者で有酸素運動だけでなく、呼吸トレーニングを追加することで、呼吸リハの効果がより高まるというのは有用なデータですね。
私自身、IPF患者の呼吸リハに難渋することは多いので、今回の結果を少しでも活かしていければと思います。