「だいたいこれぐらいの割合だよね。」
「自宅退院率はこれくらいかな。」
果たしてこの二つ、正しく使われているでしょうか。
実は疫学者の間でも誤解が多く、まずはここを押さえることから始まります。
多くの人にはこの誤用は気付かれません。
しかし研究協力を依頼したい、論文執筆の協力を依頼したいといった場合、
この辺りの表現で相手から協力が得られないこともあります。
まず比(ratio)から始まります。
割り算ですね。
この時の分子と分母は、お互いが別のものです。
男と女、右利きと左利き、1年生と2年生といった感じ。
表現は、〇対〇や、0.2とします。
オッズ比もこれです。
次に割合(proportion).
これは分子が分母の一部です。
入院患者さんのうち、死亡した患者など。
死亡した患者は入院患者に含まれますね。
〇%と表現されます。
ちなみにリスクは割合です。
死亡リスク、転倒リスク。
最後に率(rate)。
相関関係です。
片方の変化に対して、もう片方がどんな風に変化するか
ということです。
年齢が高まると、死ぬ人が増える。ちなみに人の死亡率は100%です。
日常生活動作能力が高まると、自宅退院できる人が増える。
死亡率、自宅退院率。
ということで最初の表現を添削しましょう。
これぐらいの割合よね、はもしかしらた比かもしれません。
自宅退院率、はもしかしたら割合かもしれません。
参考資料:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sobim/35/4/35_258/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjh1946/51/2/51_2_558/_pdf
https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/43541/9241547073_jpn.pdf?sequence=3&isAllowed=y