肩関節の痛みは、多くの方が一度は経験したことがあると思います。
肩関節痛の代表的な原因である腱板筋に関連した痛みや機能障害に対しては、肩甲骨の運動が効果的であることが示されています(こちら)。
これらの結果は短期的で効果も低いため、より長期的かつ効果的にするために肩甲骨のアライメントや動きを改善する必要がありますが、アライメントや動きに対する効果については不明でした。
今回紹介する論文は「肩甲骨の運動療法は、肩甲骨の位置・運動異常を改善できるの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2019年にイランのNodehi Moghadamらの研究チームは、2017年8月までに登録されている20本の論文を解析しています。
用いられている運動は、主に肩甲骨周囲筋の筋トレ、肩甲骨安定化運動、ストレッチングが含まれていました。
結果として、
- 3Dで解析した論文は8本あり、5本で運動療法の効果が認められた。
- 2Dで解析した論文は12本あり、8本で運動療法の効果が認められた。
- 疼痛は、10本中9本の論文で改善が認められた。
- 運動障害は、4本中4本の論文で改善が認められた。
だそうです。
ただし、研究間で方法にバラつきがあるため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
- 肩甲骨の運動療法は、肩甲骨の位置・運動異常、疼痛、運動障害を改善することができる。
いうことになります。
肩が痛いという患者に対して、マッサージやモビライゼーションなど他動的なことばかりをやる人は少なくありませんが、能動的に運動を行ってもらうことが大切ですね。
肩甲骨の位置および運動異常は、習慣的な姿勢や動作で生じてしまうので、生活習慣の修正を含めて、介入していく必要があると思います。