外科的治療の合併症として、手術部位の感染は重要な問題となります。
外科的治療の手術部位の感染については、栄養状態が関係していることが報告されています(こちら)。
整形領域で言えば、人工関節置換術では栄養状態と手術部位感染の関連は明らかになっていましたが、脊椎手術に関しては明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「脊椎手術の手術部位感染に栄養状態は関連しているの?」という論文です(こちら)。
2019年にギリシャのTsantesらの研究チームは、2019年5月までに登録されている22本の論文を解析しました。
結果として、
- 脊椎手術全体では、低栄養は手術部位感染と有意に関連していた(OR:2.31)。
- 胸腰椎手術(OR:2.88)、仙椎手術(OR:4.31)では、低栄養と手術部位感染が有意に関連していましたが、頸椎手術とは関連していなかった。
だそうです。
ただし、研究方法にバラつきがあり、対象者も少ないため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
- 低栄養だと、胸腰椎手術と仙椎手術時に手術部位感染を起こしやすい。
ということになります。
比較的侵襲が少ない脊椎手術でも、低栄養だと手術部位感染が多くなるというのは重要ですね。
理学療法士も、術後の予後予測や術後リハのリスク管理として、栄養状態を確認する必要がありますね。