脳卒中患者の肩関節亜脱臼は、過去のシステマティックレビューで脳卒中患者全体の17~81%に発生すると言われています(こちら)。
肩関節亜脱臼は、臨床場面で多くのセラピストが直面する問題ですが、有効な対処方法についてははっきりとわかっていませんでした。
今回紹介する論文は、「脳卒中患者の肩関節亜脱臼には、何をすれば良いの?」という疑問に応えてくれる、インドの研究チームの論文です(こちら)。
2016年9月30日までに期間の22論文が抽出されています。
含まれていた介入内容は、
- 機能的電気刺激(FES)
- 装具
- テーピング
- ロボットトレーニング
- スリング運動
でした。
結果として、
FESは、急性期で効果がある。特に、棘上筋と三角筋後部線維を刺激するのが良い。
装具は、色々な種類の装具が使用されており、それぞれで即時効果はあるが、長期的な効果は分かっていない。
テーピングには、肩関節亜脱臼の改善効果はない。
ロボットトレーニングは、肩関節亜脱臼を減少させる効果が期待できるが、1つの研究しかなかった。
スリング運動で腱板筋を鍛えると、肩関節亜脱臼を改善できる。
だそうです。
ただし、各研究間で方法に不均一性があるため、今後更なる研究が必要とされています。
最後に結果をまとめると、
脳卒中後の肩関節亜脱臼を改善させるためには、FESが良さそう。
装具は、一時的には亜脱臼を改善させる効果があるが、長期的には不明。
ということでした。
脳卒中患者の肩関節亜脱臼って、いまだに各施設、各セラピストで対処方法がまちまちで、結局大した効果を得られていない印象があります。
未だになんでもかんでも三角巾というところもあるのではないでしょうか。
麻痺している筋には、やっぱり電気刺激が効果的ということですね。