脳卒中患者の運動学習を促進するために、様々な神経学的リハビリテーションの方法が行われています。
その中で最も効果的と言われているのは「課題指向型トレーニング」で、特に歩行能力、バランス能力の改善に有効と報告されています(こちら)。
しかし、重症者など、課題指向型トレーニングが適応でない患者も少なくはなく、そのような患者には運動イメージが効果的ではないかと考えられています。
しかし、運動イメージの有効性については明確になっていませんでした。
今回紹介する論文は「脳卒中患者に運動イメージは効果があるの?」という論文です(こちら)。
2019年にスペインのLópezらは、2017年までに登録されている13本の論文を解析しています。
結果として、
平均介入期間は3.76±2.04週間、4.38±1.7日/週、43.84±11.57分/日行われていた。
下肢機能では、Functional Ambulation Classification(FAC)、Rivermead Visual Assessment Gait(RVAG)、TUG、FRT、歩行速度、Fugl-Meyer Assessment (FMA)の下肢スコア、Berg Balance Scale (BBS)が有意に改善した。
上肢機能では、Action Research Arm Test (ARAT)が有意に改善した。
だそうです。
ただし、対象者や方法にバラつきがあるため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
運動イメージは上下肢の機能、歩行能力、バランス能力を改善させるのに有効。
ということになります。
この論文ではエビデンスレベルも付けられており、運動イメージは上記の機能改善に対して、エビデンスレベルⅠ・推奨レベルA(ランダム化比較試験で検証されており、強く推奨できる)とされています。
運動イメージは誰でもどこでもでき、自主訓練としても有用な治療法なので、臨床でも活用しやすいと思います。
ただ、運動イメージは他の治療法との併用が推奨されているので、運動イメージ+〇〇のプログラムが良いでと思います。