脳卒中に関連した肺炎(SAP)は、脳卒中患者の14%に認められると報告されています(こちら)。
SAPには様々な因子が関係している可能性がありますが、どの因子が関係しているかは明確になっていませんでした。
今回紹介する論文は「SAPに関連する因子は?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2019年にイギリスのEltringhamらの研究チームは、2017年2月までに登録されている11本の論文を解析しています。
結果として、
- 免疫抑制状態は、SAPのリスクを増加させた。
- 抗生物質の予防的投与はSAPリスクを減少させなかった。
- プロトンポンプ阻害剤はSAPリスクを増加させた。
- メトクロプラミドはSAPリスクを減少させた。
- 経鼻胃管の使用によるSAPリスクにはバラつきがあった。
- 多職種による介入はSAPリスクを減少させた。
- 移動能力の低下はSAPリスクを増加させた。
だそうです。
ただし、研究数が少なく方法にバラつきがあるため、更なる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
- 免疫抑制状態、プロトンポンプ阻害薬使用、移動能力低下はSAPリスクを増加させ、メトクロプラミドの使用、多職種による介入はSAPリスクを減少させる。
ということになります。
誤嚥性肺炎だから嚥下リハだけすれば良いというわけではない、ということですね。
誤嚥性肺炎を発症される高齢者は、身体機能やポリファーマシーなど要因が多岐にわたるため、多職種協働が大切ですね。