高齢者のフレイルは健康リスクを高めることは広く知られています。
外科領域においても、フレイル高齢者では術後合併症や死亡率が高くなることが報告されています(こちら)。
外科領域の研究は、多くが消化器、腎臓、心臓、肺といった内臓系の疾患を対象としていますが、脳神経外科での調査はあまり行われていませんでした。
今回紹介する論文は、「脳神経外科でのフレイルの影響は?」という論文です(こちら)。
2020年にアメリカのPazniokasらの研究チームは、2018年までに登録されている25本の論文を解析しています。
結果として、
合併症は、18/25の論文でフレイルだと増加した。
死亡率は、10/25の論文でフレイルだと増加した。
入院期間は、11/25の論文でフレイルだと延長した。
より高いレベルのケアが必要な施設への退院は、5/25の論文でフレイルだと増加した。
だそうです。
ただし、研究方法や対象者にバラつきがあるため、更なる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
脳神経外科では、フレイルだと合併症、死亡率、入院日数が増加する。
ということになります。
当然の結果といえば当然ですが、脳神経外科領域でもフレイルが予後不良因子であるということを明らかにした意義は大きいと思います。
どの領域であってもフレイルは予後不良因子なので、フレイルをいかに予防・改善するかが重要になってくると思います。