高齢者のフレイルは、様々な有害事象のリスク因子と言われており、身体的フレイルがあると、アルツハイマー病の発症率が高くなることが報告されています(こちら)。
しかし、認知症の手前である、Cognitive impairment no dementia (CIND:認知症ではない認知機能低下)と身体的フレイルとの関連、および認知症発症率との関連については明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「認知機能低下と身体的フレイル、認知症リスクは?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2019年のスウェーデンのGrandeらの研究チームは、2019年までに登録されていた5本の論文が解析されています。
結果として、
- CINDは8.8%、身体的フレイルは6.6%、両者の合併は1.5%だった。
- 認知症発症のリスクは、CINDでハザード比(HR):3.83、身体的フレイルでHR:1.47、CINDと身体的フレイルの合併ではHR:5.36だった。
だそうです。
ただし、研究数が少なく、研究方法もバラつきがあるため、さらなる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと。
- CINDと身体的フレイルの合併は認知症リスクを高める。
ということになります。
CINDは、いわゆる「認知的フレイル」のことだと思います。
身体機能が低下すれば認知機能は低下しますし、認知機能が低下しても身体機能は低下することも報告されています。
「フレイル」は身体機能に着目されることが多いですが、認知機能にも着目する必要があると思います。