高齢化が進む中で、認知症の高齢者の割合は年々増加しています。
認知症の症状は様々ですが、その中でも問題となるのが「食事」の問題です。
熊本大学のKaiらの研究チームは、認知症高齢者の81.4%が何かしらの摂食嚥下に関する問題を抱えていることを報告しています(こちら)。
しかし、認知症高齢者の摂食障害に対して、どのような介入が効果的なのかについては明らかになっていませんでした。
今回紹介する論文は「認知症高齢者の摂食障害には、何が効果的なの?」という疑問に応えてくれる論文です(こちら)。
2019年にオーストラリアのFetherstonhaughらの研究チームは、2000年から2017年の期間に登録された20本の論文を解析しています。
結果として、
- 介入方法は食事の提示方法、座席位置、食事環境、食事援助技術、音楽療法、アニマルセラピーが含まれていた。
- 食事の提示方法の介入は、1/2件で効果があった。
- 座席位置の介入は、1/4件で効果があった。
- 食事環境の介入は、2/4件で効果があった。
- 食事援助技術の介入は、5/5件で効果があった。
- 音楽療法は、3/3件で効果があった。
- アニマルセラピーは、2/2件で効果があった。
だそうです。
しかし、研究間で対象者や介入方法にばらつきがあるため、更なる研究が必要だそうです。
結果をまとめますと、
- 認知症高齢者には、食事提示方法、食事環境を調整すること、食事援助技術を高めること、音楽療法、アニマルセラピーが効果的だった。
ということになります。
認知症高齢者の食事の問題は、おそらく誰しもが経験されることですし、誰しもが解決策を模索して悩み苦しんでいるのではないでしょうか。
今回の論文で紹介されている内容は、あくまでカテゴリーごとでの効果検証です。
実際には、目の前の患者さん、利用者さんが生きてきた歴史や人柄、嗜好などから、どんな介入が有効なのかを個別性を持って考えていく必要があります。